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ホッキョクグマの血統 – マウゴシャ一家編

偉大な母 第一世代

♀マウゴシャ(Małgosia)1963〜2001

マウゴシャ(Małgosia)は、1971年にルートヴィク、ヒモ、ランディア、1974年にインカ、1977年にシュロン、1978年にトゥヤ、クリク、1980年にアイカ、ポリーを産み育てた偉大な母です(他にも出産を経験していますが、不明な点が多いため、私のわかる範囲だけの記載です)。
生涯で8回の出産を経験し、14頭の子供を産みました。そのうち10頭が成育するという、驚異的な記録を残しています。

1980年に誕生した双子のアイカとポリーが、日本で暮らすホッキョクグマ達と繋がっています。

引用:YouTube(zoo klipy mocno archiwalne 03)
ホジョフのシロンスク動物園(ポーランド南部・シロンスク地方)

同じ雄に恋した双子 第二世代

♀ポリー(1980〜1996)
出生

1980年11月24日、ポーランド・ホジュフ動物園 (Chorzów Zoo)

両親

母親: マウゴシャ (Małgosia)、父親: ヤエ (Jae)

移動

ホジュフ動物園からドイツのベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) へ移動。(日付不明)

死亡

1996年10月28日(享年15歳)、ドイツ・ベルリン動物園 (Berlin Zoo)腎不全

子ども
  • 1994年に♂フェリックスを出産

ポリーは、多くの子供を育てた「偉大なる母」として知られるマウゴシャの娘として、1980年にポーランドのホジュフ動物園で生まれました。この時、双子のきょうだい「アイカ」も一緒に誕生しています。
その後、彼女はドイツのベルリン動物園へ移動し、そこで生涯を過ごしました。パートナーのゴルキとの間で子供をもうけ、その一頭が1994年12月16日に生まれたオスのフェリックスです。
残念ながら、ポリーはフェリックスが2歳になる前の1996年10月に、腎不全のため15歳という若さで亡くなりました。

♀アイカ(1980〜2016)

引用:YouTube(Tonja and Aika wait for something, at Tierpark Berlin)
🐻‍❄️画面右側がアイカ

出生

1980年11月24日、ポーランド・ホジュフ動物園 (Chorzów Zoo)

両親

母親: マウゴシャ (Małgosia)、父親: ヤエ (Jae)

移動

ホジュフ動物園からドイツのベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) へ移動。(日付不明)

死亡

2016年10月5日(享年35歳)、ベルリン動物公園

子ども
  • 1986年に♂ビョルン・ハインリヒを出産(?)
  • ♀アントニア (Antonia):1992年11月21日生まれ

彼女の息子であるホクト(︎ビョルン・ハインリヒ)と、そのパートナーの︎シンバの間に生まれたのが、ユキ(現・浜松市動物園)とポーラ(現・仙台市八木山動物公園)です。つまり、アイカは日本の有名なホッキョクグマたちの祖母にあたります。

偉大な父達 第三世代

♂ビョルン・ハインリヒ(1986〜2011)

参考:Eisbären im Zoo – Polar Bears in Zoos

出生

1986年11月7日、ドイツ・ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin)

両親

母親: アイカ、父親: ゴルキ (Gorky)

移動

1988年5月12日にベルリン動物公園からセルビア・パリッチ動物園 (Palić Zoo) へ移動しました。

死亡

2011年6月15日(享年24歳)、パリッチ動物園にて心不全のため死亡

子ども

パートナー:シンバ(Simba)/ ハンガリーの動物園ではゾラ(Zora)

  • 1999年に♀ユキが誕生
  • 2004年に♀ポーラが誕生
♂バナウゼ(1990〜2015)

参照:Eisbären im Zoo – Polar Bears in Zoos

出生

1990年11月24日、ドイツ・ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin)

両親

母親: アイカ (Aika)、父親: ゴルキ (Gorki)

移動

1991年12月11日にベルリン動物公園から鹿児島市平川動物公園へ移動

死亡

2015年3月12日(享年24歳)、平川動物公園にて肝臓がんのため

子ども

平川動物公園では、メスの「カナ」とペアを組み、繁殖の試みが続けられましたが、残念ながら無事に成育した子供はいませんでした。

バナウゼは1991年に鹿児島市平川動物公園に来園しました。日本でホクトと呼ばれ、亡くなる2015年まで活躍してくれました。
※旭川市旭山動物園で飼育されている♂ルトヴィク(ホクト)とは別の個体です。

♂フェリックス (1994〜2018)
出生

1994年12月16日、ドイツのベルリン動物園 (Berlin Zoo)

両親

母親:ポリー (Polly)、父親: ゴルキ (Gorky)

移動

1996年3月19日にイタリアのゾーサファリ・ファザーノ (Zoo Safari Fasano) へ移動

死亡

2018年7月13日にゾーサファリ・ファザーノで死亡(享年23歳)

子ども

パートナーはマリッサ (Marissa)。彼女との間に4頭の娘が生まれました。

  • ♀ノエル (Noel) – 2003年生まれ
  • ♀ジョヴァンナ (Giovanna) – 2006年生まれ
  • ♀デア (Dea) – 2008年生まれ
  • ♀グレース (Grace) – 2012年生まれ

母親のポリーは、多くの子供を産んだ「マウゴシャ」の娘です。
イタリアのゾーサファリ・ファザーノでは、パートナーのマリッサと娘のデアの3頭で一緒に暮らすという、飼育下のホッキョクグマとしては非常に珍しい「家族での群れ飼育」が行われたことで知られています。

パートナーのマリッサ

日本で活躍する母達 第四世代

♀ユキ/雪 (1999年~)

引用:浜松市動物園【公式】X(@hamamatsuzoo) 2024/3/30

出生

1999年11月26日セルビア・パリッチ動物園 (Palić Zoo)

両親

母親: シンバ (Simba)、父親: ビョルン・ハインリヒ (Björn-Heinrich)

移動
  • 2002年3月30日: 姫路市立動物園に来園
  • 2019年3月7日: 男鹿水族館GAOに来館
  • 2024年3月28日: 浜松市動物園に来園(現在も同園で飼育中)
死亡

存命中

子ども
  • 姫路市立動物園でオスの「ホクト(ルトヴィク)」との間に2度出産しましたが、残念ながら子は育ちませんでした。
  • 2020年12月26日、男鹿水族館GAOでオスの「豪太(ゴウタ)」との間にオスの「フブキ」を出産し、無事に育て上げました。

仙台市八木山動物公園で飼育されている「ポーラ」は妹です。
父親のビョルン・ハインリヒが人工哺育で育った個体であるため、その娘であるユキの繁殖成功は非常に価値のあるものとされています。息子のフブキを立派に育て上げたことで、ベテランのお母さんとして知られています。

♀ポーラ (2004年~)

八木山動物公園フジサキの杜【公式】X
@sendaisiyagiya 2025/6/30

出生

2004年12月5日、セルビア・パリッチ動物園 (Palić Zoo)

両親

父親: ビョルン・ハインリヒ (Björn-Heinrich)、母親: シンバ (Simba)

移動

2005年10月29日にパリッチ動物園から仙台市八木山動物公園へ来園(現在も同園で飼育中)

死亡

存命中

子ども

パートナーはオスの「カイ」これまでに3度の出産を経験

  • 2024年12月20日に双子(オスとメス)を出産

浜松市動物園で飼育されている「ユキ」は姉です。
父親のビョルン・ハインリヒが人工哺育で育った個体であるため、その娘であるポーラの繁殖も期待されています。

♀デア(2008年~)
出生

2008年12月2日、イタリア・ゾーサファリ・ファザーノ (Zoo Safari Fasano)

両親

母親: マリッサ (Marissa)、父親: フェリックス (Felix)

移動

2012年3月16日にゾーサファリ・ファザーノから日本の恩賜上野動物園へ来園(現在も同園で飼育中)

死亡

存命中

子ども

現在、子供はいません。上野動物園ではオスの「イコロ」とペアを組んでいますが、繁殖には至っていません。

父親のフェリックス、母親のマリッサと共に、3頭で一緒に暮らすという珍しい環境で育ちました。

日本で誕生 第五世代

♂フブキ(2020~)
出生

2020年12月26日、秋田県・男鹿水族館GAO (Oga Aquarium GAO)

両親

母親: ユキ (Yuki)、父親: 豪太 (Gota)

移動

2023年3月に名古屋市東山動植物園へ移動

死亡

存命中

フブキは♂豪太と♀ユキ(雪)の間に生まれたことから「”豪雪”や吹雪の中でもたくましく生きれるように」という願いから名付けられました。東山動植物園の展示場ではウッドチップが敷かれており、飼育担当の方が配置した遊具を遊んだり、咥えたりしています。

♂(うみ)♀(そら)(2024~)
出生

2024年12月20日仙台市八木山動物公園生まれ

両親

母親: ポーラ、父親:カイ

移動

八木山動物公園で飼育中

死亡

存命中

八木山動物公園で初めて成育したホッキョクグマであり、国内では12年ぶりの双子の誕生です。DNA検査により、オスとメスの一頭ずつであることが判明しました。母のポーラに見守られながら、スクスク成長しています。

おわりに

マウゴシャ一家に会った時には、「この子はマウゴシャが繋いでくれた子なんだ、多くの動物園とホッキョクグマ達の頑張りで会う事ができているんだ」と思い出していただければ嬉しいです。

今回、私のような立場の人間に対して写真や情報をご提供くださった皆様、本当にありがとうございました。
掲載できなかった写真もすべて大切に保管しております。
いただいたすべての資料は、今後の学びと発信にしっかりと活かしてまいります。


注:この血統図は、日本の動物園で現在飼育されているホッキョクグマと海外の血統との関係を示したものです。マウゴシャを中心とした血統の詳細については、欧州の動物園記録に基づいています。

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この記事を書いた人

時々動物園に現れる動物園好きの男子学生。大型類人猿、アフリカゾウを愛しています。フォロワー様の影響でホッキョクオオカミに惚れました。主に秋田市大森山動物園に出没します。コミュ障を治し、フォロワー様と動物園を周ることが夢です。