「動物ガチ勢の“ガチ勢の為の”動物図鑑~カバ編~」

はじめに

動物ガチ勢の“ガチ勢の為の”動物図鑑第二回は…カバ!!!2月15日はカバの日であることをご存じでしょうか? (15日もう過ぎてますよっていうのは、言わないでください。間に合わなかったんです(開き直り))
あの巨躯、水中に特化した生態、草食動物としては異例の咬合力…魅力が多すぎます!
そしてまさかのZooPortalでカバを扱うのは初めてです!意外と抜けてましたね…汗

前置きはこの辺にしておいて…

さあ、知られざるカバたちの世界へ..!!!

“カバ”って?

上野動物園のユイ(♀)

鯨偶蹄目カバ科カバ属に分類されるカバ(学名:Hippopotamus amphibiusはアフリカ大陸に広く分布する草食動物です。エジプト神話にも母性の神タウレトとして登場するほど古くから人とのかかわりがあったとされ、現代の日本でも大きく開けた口と水中にすむぽっちゃりスタイルで多くの人に親しまれていますね!

カバと呼ばれる生き物(カバ科)には、一般的なカバ(学名:Hippopotamus amphibius、コモンカバ・アフリカカバともいわれる)コビトカバ(学名:Choeropsis liberiensis liberiensis 、ミニカバ・リベリアカバともいわれる)が現生していますが、コビトカバはご存じの方も多いようにフツウノカバと比べ明らかに小さく、陸上生活に適した体をしています。

上野動物園のナツメ(♀)
Ryusei

目や鼻が上に飛び出ていないのがわかるかと思います!
(詳しくは次章にて…)

カバ(3亜種)

カバにも生息地ごとに亜種が分けられています。ちなみに、コビトカバの亜種は絶滅したとされ、現在はあのコビトカバ1亜種のみとなっています。

カバの亜種分類には複数の説があり、5亜種とする説もあれば、亜種は存在しないとする説もあります。
本記事では、分類学の父とされるリンネの分類に基づき3亜種とします。ご了承下さい。

  • H. a. amphibius ナイルカバ 西アフリカやタンザニアなどに生息しているとされ、エジプトでは絶滅したとも…
  • H. a. capensis  ケープカバ ザンビアから南アフリカにかけて生息しているとされる。
  • H. a. kiboko  ケニアカバ  ソマリアやケニアに生息しているとされる。
ほぼサバンナ!?「八木山動物公園」

カバを飼育する園館は国内にたくさんあります。しかし、八木山動物公園ほど野性味あふれる展示はなかなかないでしょう…

カバの展示場の隣にはクロサイの展示場があるのですが、その間に壁はありません。さらに、その奥にはキリンやシマウマの展示場もあり、すべての種類が同じ草原にいるように見えます(パノラマ展示)。カバをパノラマ展示に用いている園館は国内でも希少であるため、ぜひとも訪れてみてほしい動物園の一つです。

八木山動物公園は現在リニューアルも行われており、より野生を感じる事が出来るようになるとのことですので、お楽しみに!!

ここをみて!ここを感じて!みんなが知らないカバの魅力

八木山動物公園のヒタチ(♀)

現代の多くの人たちがカバに対して持っているイメージはのろく、鈍感でいつも寝ているような生き物ではないでしょうか?
実際、多くのイラストやアニメでのカバのイメージはそのようなものが多いような気がします。

水中でも爆速!!

確かにカバの体重は2~3トンあり、地球上で2番目に重い陸棲動物です。しかも、体高は1.5m程度で、足はかなり短いです。しかし、彼らはその体重を支えるために強靭な筋力を持ち、その短い脚ながら最高時速30kmで走ることもできるという報告もあります。この重い体ながら、4本の足が完全に地面から離れるギャロップ走行という走り方をしているとの研究も2024年に発表され、陸上においての高速機動に優れた生き物であるといえます。ちなみにゾウはこの走り方をできないので、ギャロップ走行をできる世界最重量の生き物といえます。

Ryusei

3トンの体重で原付バイク並の速度を出せるという…

さらに、水中生活が基本の彼らはその生活に特化したからだを持っています。

特徴的な顔、なぜこんな顔をしているのか気になったことはないでしょうか?

やたらと“凸の多い顔”をしていませんか?
目、耳、鼻が飛び出ていて、少し不格好にも見えてしまうこの構造、ちゃんと意味があるんです!!

この下の画像を見てもらえばわかりやすいかもしれませんが、水から最小限顔を出せば地上の様子を探ったり息継ぎしたり全部できるようになっています!もはや浅い川底に寝転んだ状態で少し上を向けば息ができるレベルです…!!
動物園のプールでも鼻だけ出して呼吸していたり、逆に目と鼻だけ出してあたりの様子を見ていたりしていることも多いです。

Ryusei

どこにいるかなー…あっ!!

さらにこの鼻、アザラシやイルカなどと同様にぴったり閉じることができるので長時間の潜水でも鼻に水が入って阿保れることもないというわけです! (幼い個体とかだと閉じるのを忘れてちょっとジタバタするみたいな話を聞いたことがありますが、ほんとかどうかは定かではありません…w)
さらに水中と陸上のどちらとも同時にコミュニケーションをとれる特性があるということもケープタウン大学などの研究によってわかってきています。陸生動物の用いる唸り声などの音や、水生動物がよく使うクリック音などによる意思疎通など、様々な手法を同時にコミュニケーションに用いる高い知能を有しています。水面などを超えて会話することのできるかなり特殊な生き物で、哺乳類でこの能力を持っているのはほぼカバのみです。

さらにもう一つのカバの特徴、と言ったら大きな口でしょう!

最大で150°開くといわれているこの口は威嚇や仲間同士での喧嘩、メスをめぐるオス同士の決闘において最大限生かされます。さらに特徴的なのはおおきな!切歯(前歯)で最大40センチ(下顎)、一番大きな下あごの犬歯では長さ50センチのものも記録されています。下あごの切歯は土を掘り返して植物を食べることにも用いられるそうですが、犬歯は主に同種や肉食動物との戦いに用いられます。

さらに、この顎は大きいだけでなく、頭部の30%を占める筋肉によって800~900Kg(約8000N)という哺乳類最強クラスの咬合力をたたき出します。

オス同士の決闘の様子(南アフリカ共和国にて撮影)
Ryusei

こりゃ威嚇にもなるよ…w

メスをめぐる争いやナワバリバトルなどの同種間の戦いでは、口を開けたときの大きさで決着もつくことのあります。しかし、ここでおっとりしたカバの印象は全く打ち砕かれることでしょう…

サファリガイドや自然番組のカメラマンが最も恐れる生き物栄えある第1位がこのカバです。警戒心の強く、縄張り意識の強い生き物なので、不用意に水辺に近づこうものなら「お前はもう死んでいる」状態になります。
逆にそれだけ繊細な生き物ということになりますので、動物園で会った時には静かにやさしく観察するようにしましょうね!

Ryusei

本気出したらカバっといかれますので…(何言ってんだ)

まとめ

いかがだったでしょうか?

奥深いカバたちの世界、少しでも彼らの魅力が伝わってくれればと思います!

彼らもまた、絶滅危惧種であり、残り生息数は12万頭前後で減少中、エジプトをはじめとするおおくのちいきで絶滅したとの報告があり、残存個体群の分散、分集団化が進んでいます。危急種に分類されており、保全が必要な状況です。

さらに、一番の問題は、彼らのことがまだほとんどわかっていないということです。近づいて研究することも危険であり、人生のほとんどを水中ですごす彼らのことを詳しく研究することは難しいようです…

「彼らの為にできること」って何でしょうか…?
ぜひ、動物たちの為になにができるか、考えてみてもらいたいと思います!
また、動物園で暮らすカバに会うときも、彼らを尊重し、静かにやさしく見ることも大切なんじゃないかと思います!

参考文献
  • https://www.departments.bucknell.edu/biology/resources/msw3/browse.asp?id=14200105(参照:2026-02-03)
  • 東京ズーネット. どうぶつ図鑑 カバ. https://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?species_code=28 (参照:2026-02-03)
  • Bere 1959; MarshaIl & Sayer 1976; Meinertzhagen 1938; Pienaar, van Wyk & Fairall 1966a
  • R. S. K. Barnes , H. J. B. Birks, E. F. Connor, R. T. Paine. Megaherbivores T he influence of very large body size on ecology. CAMB RIDGE STUDIES IN ECOLOGY. 1988
  • IUCN Red List. Common Hippopotamus(Hippopotamus amphibius ) . file:///C:/Users/nakan/Downloads/Supplementary_Information_18567364.pdf. (参照:2026-02-04)
  • Christiansen, P. & Wroe, S. (2007). Bite force and evolutionary adaptations to feeding ecology in carnivores.
    Ecology 88(2): 347–358.
  • Alexa Simone Prinsloo. (2016). Aspects of the spatial and behavioral ecology of Hippopotamus amphibius in the Saint Lucia Estuary, KwaZulu-Natal, South Africa. University of Cape Town. (参照:2026-02-22)
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この記事を書いた人

Ryusei -動物ガチ勢-のアバター Ryusei -動物ガチ勢- 現役獣医学部生

動物ガチの大学生です! 動物園と一緒に動物福祉の研究しました!2023年埼玉県私学文化祭最優秀賞、2024年日本動物学会高校生ポスター賞受賞、2024年3月千葉市動物公園にて講演会を実施
推し動物はゾウ、ヒョウなど…!