東京から約2000km、沖縄県の近海に“海の牛”、“人魚”が住んでいることはご存じでしょうか?水族館で会えるウミウシではないですよ!
彼らの名は“ジュゴン”!!
人魚のモデルともいわれている彼らは今、日本から姿を消そうとしています。
今回はそんな彼らにスポットライトを当て、身近な生き物の絶滅について考えてみませんか?
ジュゴンって何?

ジュゴン(学名:Dugong dugon)とは、哺乳綱カイギュウ目(海牛目)ジュゴン科ジュゴン属に属し、体長3m、体重450㎏にもなる大型海生哺乳類です。浅い海底でゆっくりと動きながらアマモなどの海藻を食べて暮らしています。海に住む哺乳類ですが、イルカやクジラなどの鯨類(鯨偶蹄目)ではなく、全く別の分類(海牛目)となっています。

海底に生えた海藻を掃除機のような形状の口でもっしゃもっしゃ食べながらゆったり動く姿や、丸い蓋で完璧に閉じられる鼻、丸くツルンとしたフォルムが非常に魅力的な生き物でもあります!個人的に、好きです(唐突)
Ryusei尾鰭が三角形だったらジュゴン、丸かったらマナティーです!
今は亡き優しき巨獣“ステラーダイカイギュウ”


ジュゴンや、近縁のマナティーよりも何十倍も体格が大きいのがステラーカイギュウ(別名:ステラーダイカイギュウ)です。成体は全長7〜8m、体重数トンに達し、海藻を主食とする温和な草食動物でした。
彼らは日本の北、約2000㎞以上のところにあるベーリング海に住んでいました。
が、彼らは発見されてからわずか27年で地球上から姿を消すことになります。
1741年、ドイツ人博物学者のゲオルク・ヴィルヘルム・ステラーが、ロシアのベーリング隊長率いる探検隊に同行中、現在のベーリング海周辺(ベーリング島付近)でこの巨大な生き物を発見しました。
遭難し深刻な食糧不足にあえいでいた探検隊にとっては、肉は食料として、脂肪は保存性の高い油として大変重宝され、毛皮目的ではなく食用目的で集中的に捕獲されました。ステラーカイギュウは天敵もおらず餌の競合相手も少ない環境で育ったため、人を恐れず、動きも遅かったのです。
1740年代以降、この性質を利用した探検家や毛皮交易者によって無制限な狩猟が続きました。繁殖速度が遅いこと、分布域が狭くベーリング海周辺に限られていたことが、個体数回復を不可能にし、いつしかほとんど見られなくなってしまいました。
1768年、最後の個体が殺された記録が残されており、これが人為的要因による絶滅の確定年とされています。発見から絶滅までの期間は、わずか約27年でした。



授乳をする姿が人にそっくりとのことで人魚のモデルになった動物でもあります!!
現在の保護状況


沖縄県の公表している近年のジュゴン生息数調査報告書によると、漁業者やマリンレジャー関係者へのヒアリング、既存資料(国の事業報告書等)を対象に目撃情報等を収集整理した結果、目撃情報等は合計38件が確認されました(内訳は先島諸島34件、沖縄本島周辺4件)。そのほとんどは海藻を食べた後、「噛み後」や糞からのDNA抽出などで、生きている個体を見つけることはなかなか難しい現状です。
伊良部島周辺では2頭の生きている個体が2023年と2024年に計2回確認されており、母子である可能性が示唆されています!!



報告書の中に「豚のような生き物が水面でおならしていった」との目撃情報があり、ほっこりしました(笑)


日本国内の生息数はすでに100頭以下であるとの推定が出されており、数年間の報告書を見ても一年間に生きた個体(ジュゴンっぽい生き物)を確認できるのは数頭にとどまっています。
世界中の個体を見るとオーストラリアや東南アジア、ヨーロッパを中心に10数万頭が生息していると考えられており、危急種に分類されているものの個体数は増加しています。しかし日本国内では絶滅危惧1A類に分類されており、最高レベルの保護活動が行われています。
日本国内動物園水族館での飼育状況





私は2019年に会いに行きました!
6年前の事ですが、その美しさに感動したのを覚えています!!
日本国内での飼育数はなんと1頭!!
三重県の鳥羽水族館にて、メスのセレナが飼育されています。このセレナ、生後半年程度の頃に保護されてきた個体なのですが、現在なんと推定39歳 (1987年入館)!!世界最長飼育記録を日々更新しています。


フィリピンのパラワン島で親とはぐれていたところを保護され、当時同水族館で飼育されていたじゅんいち(♂)のお嫁候補としてやってきました。しかし2011年にじゅんいちが亡くなり、それからは飼育下日本最後の個体としてジュゴンの魅力を伝え続けています。
まとめ


いかがだったでしょうか?
魅力にあふれるジュゴンの事が少しでも伝わればうれしいです!また、彼らが日本の中で絶滅の危険性が非常に高いこと、国内でほとんど飼育されていないことも伝わればいいなと思います!!
飼育下でも野生でも絶滅寸前のこの種類について、私たちにもできることがあるはずです!まずは正しい知識を身に着けることから始めましょう!!
- 鳥羽水族館 「ジュゴンのセレナ、飼育の30年」https://aquarium.co.jp/tobacms/wp-content/uploads/70.pdf
- 沖縄県文化環境部自然保護課「ジュゴンのはなし」 https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/569/the_story_of_the_dugong_.pdf
- 沖縄県環境部自然保護課「令和 6 年度ジュゴン保護対策事業報告書」https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/859/r6dugong_houkokusyo.pdf









