鹿の頭骨の骨格標本を作りたい!!

バビロン

みなさんこんにちは。動物園巡りの記事からうって変わって、今回は私が楽しく作った鹿の頭の骨格標本完成までの道のりを書かせて頂きます。

写真が見慣れないものというかセンシティブというか、ちょっと無条件にぶぁーーと発信するにはグロっちいものが多々あったので、作り始めた頃は完成しても誰にも見せられなく終わるのかと思っておりました。

その後ZooPortalさんに出会いワンチャンこのサイトなら…とダメ元で聞いてみたらオッケーを頂けましたので!! 私の自己満足の骨観察日記をお楽しみください。

そもそもなんでそんな事を思いはじめてしまったの?

私は気づいた頃には自分の骨格標本が欲しいと思っていました。全身じゃなくても、頭だけだったり足だけだったりと、とにかくいつでも見たくなった時に見られる骨が欲しい! 眺めたい時に眺めたい!! という気持ちがずっとありました。

ネットで魚やケンタッキーの骨格標本を作ってる方を見るとはちゃめちゃに羨ましがってました。

学生時代に授業で卵の標本は作った経験があるのですが、やっぱり骨だよなぁという気持ちで、作りたかった欲求は満たされませんでした。(中身を抜く作業、爆発するか否かのドキドキは楽しかったですけども)

欲しいと思ってるが故、知識でなんとなくメジャーな作り方はお肉を削いで茹でて削いで茹でてを繰り返していくんだろうなという漠然としたイメージはありました。
実際ネットに転がってるのは茹でて削いでいく方法が多いので、その方法が手っ取り早いのでしょう。

が、しかし我が家でやるにはちょっとハードルが高い。私の場合は鹿の頭。家の人は私がどんな人間か知ってるので鹿の頭を庭とか駐車場に持って帰って来たらドン引きするかもしれないですが、まぁしゃーなしと思ってくれるでしょう。多分ね。

ただ流石にそれを家に入れて、鍋に入れて火にかけることは許してくれるほど我が家は良いお家ではありません。

じゃあ、どうしようかと考えたところ、私の身近にあって見たい時に見れる東山動物園のアフリカゾウ、チーの全身骨格標本は、動物園内に埋めて、微生物たちに分解されるという方法を取っています。

そう、地面に埋めちゃえば勝手に骨になってくれるというわけです。これなら人にグロいものを見せることなく、己と自然の力だけでどうにか骨を入手することが出来るのです。

どうやって素材を手に入れる事が出来たの?

去年の夏に通勤路でロードキルにあったハクビシンがいました。歩道の少し影になった所で力尽きていたので、いつかこいつの肉が分解されたら漂白するだけで完成じゃん! と思い毎日観察を続けていました。

日を追うごとに肉は無くなっていきますが臭いがとにかくキツイです。そこを通ると腐敗臭がものすごく漂ってきます。
そのため出歩いている人が先に通報してしまうか、私が拾って帰るのが先かのバトルが始まります。
お盆にさしかかり、これはそろそろ持って帰れる!

勝ちだ!!

と思ってた矢先…歩道の草刈りに来た業者に回収されてしまいました。

そう負けたのです。

バビロン

後ちょっとだったのに…

と悲しい思いをしました。
というお話をたまたま出会った猟師さんにすると、なんと捕獲した鹿の頭を譲っていただける運びになりました!!

足も持ってってもいいよと言われましたが、頭か足ならとりあえず大きい方を選ぶでしょうよ。
頭頂きますと言って袋を3重にして持ち帰りました。

そんな感じで憧れの標本作りがスタートしたのです。

さぁ始めよう骨格標本作り

譲ってもらった鹿の情報🦌
  • 3歳のメス
  • 冬を頑張って生き抜いて少し痩せてる(らしい)
  • 今から新芽を食べて太ろうとした時期に獲られた個体

との事でした。
記事を書く予定が譲ってもらった時にはなかったので、これくらいの情報しか思い出して書けず…すみません。

こちらから先、動物の解体作業の描写になります。聞きたくない単語や、見慣れない写真もあります。苦手な方はここまででお願いします。
マイルドに書こうと意識はしていますが初っ端から慣れない方にはキツイことを書いているかもしれない…

バビロン

白骨化序盤の画像は加工して、タップして原画を開く形式にしてあります。

6/15

譲って頂いた頭から耳を切り落とし、出来る限り包丁で削ぎ落とせる肉を削いでいきます。
お肉と骨との間にある皮をつまんで少しずつ刃を入れていく事で、苦戦する事なく削ぎ落とせます。細かったり細かかったりする肉片や皮は包丁が入らずだったため所々残っています。

脳みそも骨の隙間から包丁を刺して、ザバザバと隙間から出る分は流し出しましたが、完全には取りきれませんでした。
ここで目を出すことが出来れば良かったのですが、目に包丁を刺すことがどうしても出来ず…目周りの皮を削いで肉っぽくなっていたのですが、ちょっと厳しいものがありました。

(飼育員時代、亡くなった動物の解剖に立ち会わせてもらっていたので割と動物の解体に対して耐性はある方だと思っていました。見てるだけの時はあまりしんどくないのですが、いざ実際己で刃を入れるとなるとずっと動物を解体しているという意識が脳内にあり若干しんどさを感じました)

削げるだけ削ぎ落としたら、地面に穴を掘って埋められる環境にはないため、百均で蓋のない収納ケースを購入し、そこに投入します。

私が骨格標本作りのために資料を探した際、茹でる、土に埋めるという方法が多くあり、普通にやってはつまらないなと。それなら私が今簡単に得られることが出来るのは馬糞。
ということで、ケースにまず馬糞や尿で汚れたおがこを敷き詰めほぐしていきます。

半分くらい敷き詰めたら、そこに右側を上にした状態で置き、馬糞と米糠を交互にかけて埋めました。

なぜ米糠を入れたのかというと、自家製馬糞堆肥を作る際に、米糠を入れると臭いが軽減されるとインターネットに書いてあったためです。(とてつもなく腐敗臭への恐怖があった…。結局臭わなかったから米糠のおかげかそもそも臭くなかったのか……)

埋めきったら、雨の当たらない日陰に設置して完了です。

匂いはどうだった?

作業中は血の匂いがしていましたが、埋めたら特に臭うことなく進行していきました。

猟師さんに臭うよ、ウジも湧くよと言われてたため逆に臭わなかったしウジが湧く様子もなく本当に上手くできているのか不安ではありました。

8/29

ネットで調べていくと土に埋めて100日程で損傷があると記載があったのと馬糞だしどういう進行具合か確認してみたかったので一旦8月末に掘り起こそうと決めました。(75日経過)

画像タップで拡大

匂いは一切ありません。うんち臭も鹿臭も。

鼻に若干のひび割れは見られるが、顔の左側はまだ分解途中なのか、ところどころゴツゴツと骨ではないけど土でもない白い塊がひっついていたり、手で擦っても取れない土にような塊があったりしました。
顎もしっかりついている状態で外そうとしても、動くだけで取り外せはしません。歯のつき具合にも差があって、右はもう触るとぐらっぐらでした。左は顎と同じくびくともしません。

目本体はないのですが何か目のあたりに膜のようなものは残っていました。
左右とも穴の深さには特段差を作った気はなかったのですが、多少の分解の速度の差が出ました。全体的にみて9割は既に骨の状態で姿を見せてくれました。

チェックした後は、上半分がだいぶポソポソと水分もない馬糞(どちらかというと水分のない乾いた堆肥の状態に近い)になってしまったので、出したてほやほやの馬糞を貰ってスコップでほぐした状態で投入しました。

米糠の手持ちがなかったためこの時は馬糞や尿で汚れたおがこのみの投入しました。

9/30

忙しさに気を取られ、気づいたら合計107日経過しました。これはそろそろやらねばと思い作業開始です。

75日とそんなに変わらずの姿でした。やっぱり左側だけ何かが残ってしまいました。

骨の損傷は鼻周りが少し欠けてしまっていたり、下顎の細い部分が少し削れていってしまっていたため埋めるのをここで終了としました。
土汚れというか糞汚れを水洗いしていきます。水洗いをしていると変な匂いが漂います。酸っぱいというか乳臭いというか表現が難しい匂いでした。

作業中私以外の人間はいたのですが、絶賛鼻詰まり中のため意見を聞くことができず…。その人は別に臭わないけどね、と言っていました。(そりゃ鼻詰まってるもの)

左側のこびりついているモノは肉なのか皮なのか定かに出来ませんでしたが擦った感じ皮が分解されなかったのかなぁという印象です。

漂白開始

漂白は埋めていた入れ物に頭が入り切るくらいの水を入れて沈ませ、ハイターを150ml投入しました(適当割合です)。
これ、覗くとどーーーんと骨が視界に映るので、カゴに蓋をし暗所にて保管をします。

10/2

忙しすぎて1日で引き上げの予定が4日経ってしまいました。どうなっているかドキドキで蓋を開けるとさほど見た目上の変化はなく…。

ただ臭い。とにかく腐敗臭がする。

肉片が少ない分はちゃめちゃな臭いではないのですが…。結構鼻を突く臭いがしました。

お水を抜いて見てみると、相変わらず頭に引っ付いた皮がしぶとく残ってます。いっそ擦ったら取れんかと思い、食器洗剤とスポンジでこすり落としたところ、取れました!!

まだまだ薄い皮が引っ付いていたり、茶色くなっていたりするのでもう1度濃度を薄めてハイター水にインしました。ただだいぶ鼻先の骨が脆くなっているので1日で引き上げようと思います。

10/8

また忙しくて時間が空いてしまった。

変化はなし。臭いも2日と変わらずしっかり臭いました。

ポリデントをゲットしてきたので丁寧にお湯で洗い流しとれる範囲の薄皮等こすり取ってからポリデント漬けにしていきます(3錠)。

10/9

水を変えて再度ポリデント(3錠)につけ置き。臭いは相変わらず。

ピロピロしてた薄皮部分が取りやすくなり取れる分は取り除きました。再度新しい水とポリデント(3錠)にし沈めました。本当は1日で引き上げるつもりだった…。

10/29

忙しかった。やる暇なかった。

引き上げ時はポリデントのスーッとする匂い洗ってもスースーが鼻に残る。(これ後々私が両肩に貼っていた湿布臭と判明しました)

残ってた肉や皮もぺろぺろ落ちるようになりました。が、放置しすぎたせいか結構いろんな場所に穴が空いたりヒビが入ったりしてしまったのでこれ以上つけといたら更にボロボロになるかなと思い、天日干しをスタートしました。

だいぶ綺麗に肉等取れたと思います。

10/31

2日間天気が良かったので日に当てたらオレンジががっていた骨が真っ白になり始めました。当初は漂白失敗したかなー土の色ついちゃったかなーと思っていましたが乾くとちゃんと白くなりました。

29日時点の引き上げではもう気になる匂いもせず、天日干し中も、嫌な匂いは腐敗臭を感じませんでした。ここでも周りに人間がいたので嗅いでもらいましたが特に異臭はせず、安心して外に干しておくことが出来ました。

予め骨が外に干してあると宣言してたので、周りからは何も言われず済みました。

しっかり乾かしたら顎を所定の位置に戻して完成! 歯はぐらついてたらボンドでつけようと思っていましたが、抜け落ちそうという感じはありませんのでそのままにしようと思います。

所々ヒビが入ったり、割れてしまった部分もありますが、どうにか完成までこぎつけました!

終わりに

4ヶ月ほどかけて骨格標本を作りました。ふと気が向いたら歯と歯を噛み合わせてみたり、顎を動かしてみたりと楽しく骨と過ごしています。見てるだけでニマニマしてしまいます。

私は頭だけだったのもあって比較的短い時間で出来たのかな? と思いますが、動物園水族館にある全身骨格たちはこれ以上の時間をかけて戻ってきてくれてるのかと思うとありがたさを本当に痛感します。

ただ忙しくて出来なかった日が出て来てしまい、穴が空いたり割れてしまったりしたのが悔しいポイントではあります。

ここまでお付き合いありがとうございます。これにて素人が作る骨格標本日記を終了とします。馬糞に埋めて作りたいという方がいればご参考までに!

次は割らずにもっと綺麗に作りたいぞー!!

バビロン

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この記事を書いた人

動物園に広報として関わる事が夢だった元飼育員、現動物園水族館巡り、野生動物探 しをして動物とどうにか関わろうとしている人。好きな動物はコロコロ変わり、ここ数年はブチハイエナがブーム中