「もう野生には戻れないねーw」「野生の方が幸せなんだろうな…」「野生じゃこんなグダグダしてないよ」、動物園でよく聞くワードです。今回は実際どうだったのか、2025年2月に実際に南アフリカに訪れた経験をもとに比較してみます!!
ライオンって何だっけ?

まずはアフリカといえばのライオンから比較していくわけですが、実際に比較する前に、動物に詳しくない人の為にもちょっとライオンについて復習しておきましょう!!
「百獣の王」ことライオン、学名Panthela Leo はアフリカやインドの一部に生息する地上最大級のネコ科肉食獣です。大人のオスはタテガミを持つことで知られており、オス同士の戦いやハイエナ相手の戦いで威嚇や首の保護の役割を果たすといわれています。

ネコ科(食肉目)で唯一雌雄混合の群れ「プライド」をつくることで知られており、メスは優れたチームプレイで獲物をしとめます。
“動物園での”ライオン

某映画のイメージもあり、威厳の塊のような印象をもたれているライオンたちですが、動物園で飼育されているライオンたちをみて、多くの方はこのようにコメントします。

いっつも寝てるじゃん…
そうなんです!基本的に寝てるんです!!


起きていても眠そうだったり…


なんかもうただの大きなネコみたいだったり…w
こんな状況ばかり見られていては「野生を忘れた王様」なんて言われてもしょうがないかも…じゃあ現役の王様、野生の状態はどうだったんでしょうか??
“野生下での”ライオン


では、野生ではどのように暮らしているのでしょうか?
私が訪れたのは、南アフリカ共和国の北部にあるカパマ私営保護区です。この保護区内には2から3のプライドに20頭程度のライオンが生息しているとのことですが…


やっぱり爆睡でしたw



起きてる個体に会う方が難しかったです…w
野生下では、当たり前ですが毎日餌が取れるわけではありません!しかも僕が会いに行ったのは”雨期”!雨が降ると草食動物も隠れちゃいます。
そしてライオンは水が大っ嫌い!


雨が降る季節は苦手なんです…気温的には過ごしやすいのですが、雨季は一日中雨なので…
ご飯食べていなくて、なおかつ嫌な季節‥まあそりゃ動かないですよね…
季節的な要因を考えず通年の様子で比較すると、ライオンは1日18時間寝ると言われています。日中はとても暑く、餌もとりにくい状態ではエネルギーの節約に全力を注ぐわけですね!!
動物園と野生の個体数
動物園の顔ともいえるライオンですが、その生息数はどうなっているのでしょうか?


人間を避ける個体が多いため、なかなか正確な数を調べることは難しいそうですが、95%の地域で絶滅、個体数も残り約3万頭と推定されています。アジアに住む個体群(インドライオン)に関しては「ギル森林保護区」という保護区にしか生息していません!!
そのため、IUCN(国際自然保護連合)では絶滅危惧Ⅱ類、危急種に指定されています。
絶滅危惧種には7つの段階(+α)があります。
下に行くほど絶滅に近い状況の種と判断されます(IUCNの基準に基づく)。
- 低懸念種(LC)
- 低危急種(NT)
- 危急種(VU)
- 絶滅危惧種(EN)
- 絶滅寸前種(CR)
- 野生絶滅種(EW)
- 絶滅種(EX)



でもいろんな動物園にライオンいるじゃん…
と、思う人もいるでしょう。
…実は、国内ではライオンが余っているのです!!
ライオンの赤ちゃんを使って集客していた園館も過去にあり、血筋を考えずに増やしまくった結果、野生にも戻せない(亜種間雑種)個体がいっぱい生まれちゃったわけです…
そして、ライオンは1~3頭のオスと複数のメスで群れを作る生き物…オスが余りまくるんです!!
オスが余るという問題の為、千葉市動物公園ではライオンをオスだけ飼育しています。


野生の単独で行動するオス「ノマドライオン(放浪オス)」の生態を再現した珍しい展示になっていますので是非行ってみてください!!
いろんな問題を抱えた百獣の王、その問題を解決するためには「ライオンの事を知ること」「動物園を支援すること」が必要です!助けるためにはまず「知ること」から!
ぜひ動物園を訪れて野生のライオンや彼らの抱える問題に触れてみてはいかがでしょうか?
参考文献:公益財団法人日本動物福祉協会「ライオン」