こんにちは!生きものの語り部です。
このコーナーでは、日本各地の動物園が取り組む活動や、近日実施されるイベントを紹介する『動物園ニュース』を、月2回のペースで配信しています。
ぜひZoology Loreの過去記事や、前回の動物園ニュースもご覧いただければ幸いです。
天王寺動物園 新ホッキョクグマ舎誕生へ
天王寺動物園は、ホッキョクグマの「ホウちゃん」を、新施設の『ポーラーベアコースト』への引っ越しや、新しい環境へ慣れてもらうため、当面は観覧できないことを発表しました。
新施設は、老朽化した現在の展示施設に代わるものとして整備される予定で、より広い陸地や深いプール、温度管理設備などを備え、ホッキョクグマが本来持つ行動をより自然に引き出せる環境を目指しています。
ホッキョクグマは北極圏に生息し、広大な行動圏を持つ大型肉食獣です。野生では長距離を移動し、泳ぎ、匂いを探索しながら生活しています。そのため、近年の動物園では多様な行動を引き出す展示設計が重要視されるようになっています。
天王寺動物園も近年、「100年先へ、いのちをつなぐ動物園」を掲げて施設整備を進めています。今回の新ホッキョクグマ舎は、その理念を具体化する事業の一つと言えるでしょう。
また、ホッキョクグマは地球温暖化の影響を象徴する動物としても知られています。海氷の減少による生息環境の変化は、世界的な保全課題となっています。来園者がホッキョクグマの生態を知り、北極圏の環境変化について考えるきっかけを提供する「環境教育の場」としての役割も期待されているのです。
ホッキョクグマ舎の整備は、動物福祉、種の保存、環境教育という現代動物園の三つの使命を象徴するプロジェクトとして注目されます。

上野動物園 飼育下生まれのオガサワラカワラヒワが繁殖 小笠原の鳥を未来へつなぐ
恩賜上野動物園は、飼育下で生まれたオガサワラカワラヒワのペアによる繁殖に成功したと発表しました。
オガサワラカワラヒワは、小笠原諸島だけに生息する日本固有の小鳥です。しかし近年は生息数の減少が深刻化し、環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠA類に分類されています。
個体数減少の背景には、外来種による捕食や生息環境の変化などがあるとされています。
こうした状況を受け、環境省や東京都、関係機関は生息域外保全事業を進めています。上野動物園では飼育下繁殖に取り組み、将来的な種の保存につながる知見の蓄積を進めてきました。
今回特に重要なのは、繁殖に成功したペアがともに飼育下で生まれた個体であることです。希少鳥類の保全では、野生から個体を導入するだけでは長期的な個体群維持は困難です。飼育下で複数世代にわたり繁殖が継続できることが、生息域外保全の大きな目標になります。飼育下個体群が自立的に維持される可能性を示した重要な成果ということです。
オガサワラカワラヒワのような小鳥は、ジャイアントパンダやコアラのように大きな注目を集める存在ではありません。しかし、日本の島しょ生態系を支えるかけがえのない固有種です。現代の動物園は、知名度の高い人気動物だけでなく、このような希少な在来種を未来へつなぐ役割も担っています。
今回の繁殖成功は、そうした地道な保全活動の価値を改めて示す出来事と言えるでしょう。
熊本市動植物園が「自然共生サイト」に認定 都市の中に残る生物多様性の拠点
熊本市動植物園が、環境省の「自然共生サイト」に認定されました。
自然共生サイトは、民間企業や自治体などによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度です。国際目標である「30by30(2030年までに陸と海の30%を保全する目標)」の実現に向けた取り組みの一つとして進められています。
今回認定された熊本市動植物園では、園内の池や樹林、草地などに多様な生物が生息しており、野鳥や昆虫、在来植物の生息地としても機能しています。
動植物園というと、展示されている動物や植物に目が向きがちです。しかし実際には、多くの園館が広大な緑地を有しており、都市部における貴重な生態系の拠点となっています。
近年、都市化によって身近な自然は急速に減少しています。
そのような中で、地域の生物多様性を守り、野生生物の避難場所となり、市民が自然に触れる機会を提供する――。今回の認定は、そのような機能が公的に評価されたものと言えます。
また、熊本市動植物園は2016年の熊本地震で大きな被害を受けながらも、段階的な復旧と再整備を進めてきました。
復興を経て、動植物園そのものが地域の自然環境保全の拠点として新たな評価を受けたことは、大きな意義を持つでしょう。
まとめ
今回の記事では、2026年7月前半の動物園に関するニュースをお届けしました。
今後も、日本各地の動物園や水族館のイベントや出来事を、ニュースとして紹介していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


