これを読めばごかつら池どうぶつパークに行きたくなる!!「カラカルの魅力」

はじめに

皆さん、カラカルって知ってますか?

おそらく、初めて名前を聞いたという方も多いことでしょう…
なぜなら、日本の動物園ではほとんど飼育されていない希少種だからです!

今回はそんなカラカルを飼育し、繁殖に挑む三重県のごかつら池どうぶつパークに行ってきましたので、より多くの方にカラカルを知ってもらいたいと思います!

ぜひ最後までご覧ください!!

カラカルって…?

カラカル(学名:Calacal caracal)は食肉目ネコ科カラカル属に属する中型の肉食動物です。より詳しい分類で見ると、ネコ科のカラカル系統に属しています。この系統にはアフリカゴールデンキャットなども属しているほか、サーバルキャットなども近縁であり、とても機動力に優れた種が多い印象ですね。(分類はJohnson et al.(2006)に従う)

カラカルを少しでも知っている人からすると、この両耳にある黒いフサフサが一番の特徴でしょう。
「カラカル」という名前自身もトルコ語で「黒い耳のネコ」という意味の「karrah-kulak」が由来となっています。

カキカキ…

このフサ毛(Ear tassel)は様々な説がありますが、明確な学術的裏付けはまだありません。海外園館では耳を揺らしてコミュニケーションを取ったとの報告もあるし、ヨーロッパオオヤマネコなど同じようなフサ毛を持つ種は聴覚がイエネコよりも高いという研究結果があります。しかしこの研究もフサ毛の有無で比較したわけではないため、役割はまだ調査中というのが一番正確でしょう…

Ryusei

謎多きモフ…

体長約70~100cm、体重10~20Kgほど、ライオンやトラ、ヒョウなどのアフリカやアジアに住む他の肉食獣と比べれば小柄な本種ですが彼らにはとんでもない機動性があります。

にゃっ

 西ケープ大学の研究によればしゃがみ姿勢から予備動作なし3メートルもの距離をジャンプ、走行時の最高速度は時速80kmに達するとのことです。同大学のコーン教授はカラカルの大腿部筋肉と人間の筋肉繊維を比較・研究し、約3倍の力を生み出す事が出来ると報告しています。しかし、人間の筋肉は持久性を持つために多くのミトコンドリア(エネルギーを生み出す細胞内器官)を持つのに対してカラカルはミトコンドリアを一切持たない、つまり後ろ足の筋肉のほとんどが爆発的なパワーを瞬時に生み出す速筋繊維で構成されているのです。

この超パワーを用いてカラカルは獲物にそっと近づいて急襲、時には飛び上がった鳥をも叩き落して捕まえる事が出来るのです!!

どこまでジャンプできるか考えてる…??

カラカルたちの“今”

凛々しいお顔…好きです(唐突)

 現在、カラカルはIUCNのレッドリストで低懸念種(LC)に指定されています。アフリカのイメージが強い本種ですが、実はなかなか生息域が広く、トルコやインドなど中東・南アジアにも生息しています。

Ryusei

生息域が広いという点も低懸念に分類される要因になったようです

Africa Geographic より引用

低懸念で生息域も広いなら安心!!

と、思う方もいらっしゃるかと思いますが、世の中そんなに甘くありません(?)

中東ではこの数十年ほとんど報告例がありません。インドでは2022年に生息されているとされている地域で生息数調査が行われましたがなかなか確認できず、2つの地域で合わせて生息数50頭程度とされています。インド政府はカラカルのインドに生息する亜種を国内保全対象最高ランクに指定、全力で保護に奔走しています。
2025年、インドのラジャスタン州ムクンドラヒルズ・トラ保護区で20年ぶりに撮影されたことがインドの情報誌に掲載され、インド動物界隈は大揺れしました。

一方トルコでは2023年にかけて継続的な生息数調査が行われ、トルコ南西部には約135頭が生息するとの調査結果が出ています。生息密度は10k㎡あたり1.8頭、アフリカなど他の生息地域に比べると決して高くはない数字です。同研究においてカラカルはイノシシやウサギなどほかの草食動物の生息数と強いかかわりがある「キーストーン種」とされていて保護活動が進んでいます。

カラカルの保全状況は、世界的にみると低懸念だが、地域ごと(亜種ごと)にみると保全が非常に大切な種類であるといえる。特にユーラシア大陸においては保全が重要であり、日本も域外保全などで協力していくことが求められていく

日本国内での飼育事例

最初に既述した通り、カラカルは日本国内ではほとんど見られません!!
動物園で飼育されているのはたったの2頭!しかも両方メスです!今回はその2頭をご紹介いたします。

カラカルに会える動物園
  • 姫路市動物園 (兵庫県)
  • ごかつら池どうぶつパーク (三重県)
  • “その他”

クルン(♀) ~姫路市立動物園~

写真提供:Ryu郎様

福山市動物園で生まれたクルンは、日本国内で飼育されている数少ないカラカルの一頭です。南アフリカからきた両親から生まれた現在11歳のメスです!

警戒心が強いようですので会いに行く際は驚かさないように!!
↓クルンについては以下の記事をご参照ください!

写真提供:Ryu郎様

ジナ(♀) ~ごかつら池どうぶつパーク~

日本最年少のカラカル、それがジナです!

2020年7月5日に日本に来た彼女はしばらく日本国内の別の動物園にいました。(園長先生のお言葉を借りれば、“北の国から”)

その後いろいろあって(察してください)動物商に売られていたところを園長の執念で探し出し、25年7月10日にごかつら池どうぶつパークに来園しました。

来園当初は土や植物を触ったこともなかったような様子だったそうですが、現在は土の地面と床暖房の入った岩、隠れることのできる植栽のある展示場で、栄養管理のされた十分な量の餌をもらい元気に過ごしています

大体7歳程度と推定されていますので、まだまだ若く、今後の日本国内のカラカル繁殖計画の中核を担っていく存在です。

カラカルの未来 ~ごかつら池どうぶつパークでカラカルを飼育する“意義”~

彼らの未来は、あなた次第かも...?

 先述のとおり、カラカルは現在IUCNのレッドリストにおいて低懸念種に指定されているため厳密にいえば絶滅危惧種ではありません。しかし、低懸念種の中でも「減少」という注がついています。また、ユーラシア大陸に生息する複数の個体群においては絶滅危惧・絶滅寸前種相当の危機に陥っています。

 これらの個体群を保護していくためには多くの国がカラカルという生き物について正しい知識を持ち保全への意識を持つことが大切です。
 先日のSAGAシンポジウムにおいても報告がありましたが、「動物園がある地域で、そこで飼育されている動物に対しては、その動物種に対する関心(検索量などの定量的なデータ)の有意な増加が見られた」という研究結果もあります。動物園で飼育されている動物を生で見るこの体験が来園者への興味を掻き立て、保全への意識を高めるという証明がすでになされているのです。

 さらに複数の動物園関係者から聞こえてくるのは「動物を新規導入する難しさ」です。飼育実績や経験の蓄積がない園には海外園館からも導入する事が厳しいのが現状です。例え“海外で個体が余っていたとしても”。
現在進行形でその動物種を飼育し続けていることが海外からの新規個体導入への一番の近道というわけですね

彼らがリラックスして今後も暮らしていけるためには…?

ごかつら池どうぶつパークで現在行われているクラウドファンディングでは、カラカルのオス個体導入を目指しています。ジナを受け入れた際、その動物商にてカラカルのオスが飼育されていることを園長が偶然発見しました。寿命は20年ほどといわている本種ですが、導入しようとしてる個体は15歳ほどと高齢です。しかし、高橋園長は繁殖に挑戦したいとおっしゃっていました。
クラウドファンディングによって得た資金によってカラカルの獣舎改修、設備拡充が行われる予定です。

日本国内でのカラカル飼育、繁殖、その先の海外新規個体導入、その先のカラカル域外保全への第一歩として、ごかつら池どうぶつパークは奮闘しているのです。

↓クラウドファンディングはこちらから!ご支援どうぞよろしくお願いいたします!

https://readyfor.jp/projects/gokatsurazoo

まとめ

いかがだったでしょうか?

  • カラカルという生き物がいること
  • とんでもない身体能力を持ち、まだまだ謎の多い動物であるということ
  • 彼らは危機に瀕しているということ
  • 彼らを守るため、世界中がかんばっていること
  • 日本国内でもカラカルに会えるということ
  • 会えるということがどれだけ貴重なことなのか
  • 日本でも頑張っている人たちがいるということ

上記の事について取り上げましたが、まだまだカラカルの魅力ははいっぱいあります!カラカルという魅力あふれる生き物について少しでも知っていただけたでしょうか?ぜひとも実際に会いに行ってみてくださいね!
動物園野生関係なく、これからも末永く彼らをめでることのできるように皆様の支援もどうぞよろしくお願いいたします!

参考文献
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この記事を書いた人

Ryusei -動物ガチ勢-のアバター Ryusei -動物ガチ勢- 現役獣医学部生

動物ガチの大学生です! 動物園と一緒に動物福祉の研究しました!2023年埼玉県私学文化祭最優秀賞、2024年日本動物学会高校生ポスター賞受賞、2024年3月千葉市動物公園にて講演会を実施
推し動物はゾウ、ヒョウなど…!