突然ですが、皆さんは動物が好きですか? 私は大好きです。詳しくない種も多々ありますが、動物園に1日いるのも苦ではないくらい。 勿論犬や猫も好きです。
今回お話したいのは、「愛玩動物」と野生動物の違いと問題についてです。
エキゾチックアニマル(野生動物)を取り巻く現状と、それに関連する倫理的・生態学的な課題、 特に愛玩動物との区別、人間の飼育欲求が野生個体群に与える影響、および日本の現状における問題点について考察します。
「この子飼いたい!」とおもった時に読んでみていただけると嬉しいです。
身近な人との会話で知った事
私は動物園に行くのが好きです。 憧れる動物、好きな動物を間近で見られるのが嬉しくて。 幼少の時から変わらない事があります。 それは、可愛いけど「飼いたい」と思った事はないのです。 「会いに行く動物」だからです。
私は動物園に行っても、可愛いけど「飼いたい」と思った事はなくて。 お土産でぬいぐるみを買う事くらい。 しかし、私の周りでは小さい動物を

「可愛いねー飼いたい!」
という声を耳にします。




スナネコ、マヌルネコ、ショウガラゴやリスザル、マーモセットなど小型の猿の仲間、コツメカワウソ、ミーアキャット、インコ、小さいフクロウの仲間など…イメージが可愛らしい動物に見受けられます。
愛玩動物とは


愛玩動物は、ペットとして家族として人間と暮らしていける動物のこと。 例えば、犬、猫、ハムスター、一部の鳥(オカメインコや文鳥)、野生種ではないウサギ、など。彼らは長期間にわたり人為的な選択と繁殖を経て、人間社会での共存に適応した歴史があり、野生動物とは全く異なります。
※ペットショップで販売されている動物が全て愛玩動物とは限りません。
野生動物の飼育に対する意識
どうして「飼いたい」のか どうして「家で飼える」と思うのか ずっと私には疑問でした。 知人から率直に聞いた話では、「可愛いから」「ペットショップにいるから」「YouTube、Tiktokで見るから」という意見が殆どでした。 これらのようにSNSなどによって発信された情報に接触したことによる影響が大きいのではないかと考えました。
また、海外では規制の厳しい(規制強化または廃止の方向にある)アニマルカフェが日本では多数あり、野生動物への接触機会を増加させています。
身近過ぎる、それによって野生動物の飼育に対する誤解や安易な認識を生んでしまうのですね…。 因みに本当に飼おうとしている知人はいませんでした。 単に可愛いから欲しいで発言してしまうようですね… これには衝撃でありました。
悪い無き密猟への加担(密猟問題と生態系への影響)
本来は野生動物と、愛玩動物は、分けて考えるものです。 悪意の無い、軽い気持ちで「飼いたい」と発言することが、意図せずして違法な密猟行為を助長し、野生個体群の絶滅に繋がる深刻な問題を引き起こす可能性があります。
その被害動物の代表例が、コツメカワウソなのです。


日本へのペット需要の増加に伴い、乱獲が横行し、その個体数は激減しました。その結果、絶滅危惧種になり、ワシントン条約では一番ランクの高い附属書Ⅰ(商業目的の国際取引の原則禁止)、IUCNのレッドリストではVU (絶滅危惧Ⅱ類)と絶滅の可能性が高い種になってしまいました。


現在は商取引は禁止されており、正規にペットショップでは販売できません。そもそもペットでは無いのですが…



だって売ってるじゃないか



あのインフルエンサーが飼っている
こんな意見もありますが、そのコツメカワウソはどんなルートで日本に来たでしょうか? 2019年以降、ワシントン条約による規制が強化されたため「密輸入」または「日本国内で違法に繁殖された個体」である可能性が高いです。


例えをコツメカワウソにしていますが、ペット需要のある動物たち。 どのようにして密猟されているか想像できるでしょうか? 密猟者たちは動物園の飼育員ではありません。 平和的に捕まえる事は有り得無いのです。
密猟の手法は非人道的であり、幼獣を捕獲する際には親が殺害されるケースが頻繁に報告されています。 子供を狙うと、親は命をかけて守ろうと抵抗してきます。 結果、捕らえられた個体以外の親は殺されてしまいます。 このように、一頭の野生動物が人間の手に渡る背景には、複数の個体の犠牲が存在することを認識する必要があります。 それでも「欲しい」ですか?
“欲しがる人がいなければ奪われなかった命”、 非常に悲しく、重い問題なのです。
↓合わせて読みたいカワウソの飼育徹底掘り下げ「カワウソの飼育を考える 前編・後編」




「害獣」とよばれた“大神様”


ご存知の方も多い、ニホンオオカミ。 彼らは生態系のトップにいました。 しかし残念ながら、私達の生まれる前に絶滅してしまいました…自然や生態系が崩れ、人里に下りてきた狼たちが家畜を狙ったため「害獣」と言われてしまったのです。かつては田畑をシカやイノシシの食害(農作物を野生動物が食べてしまうこと)から守る神「大神」とあがめられていたオオカミも一瞬で「害獣」の名を着せられてしまいました。そうしてオオカミが絶滅し、個体数を減らす捕食者がいなくなった現在日本ではシカやイノシシが増えすぎて食害を引き起こしています。こうして日本で起きている動物と人間の衝突が起こるのです。 世界中でも起きていますね。
動物から見て人間は怖いので、近くに来るリスクは避けたい。 しかし動物も生きる為に必死なのです。 その原因を作ったのは人間なのです。 同じ事が他の国で起きています。 鹿も熊もイノシシ等は「害獣」ではない。 複合的な原因ではありますが、現状を生み出しています。 決して繰り返してはならないのです。
あなたの「可愛いから飼いたい」を「 可愛いから守りたい」に意識が変わる事により、不幸な動物が減り、絶滅を防げる可能性が上がるのです。



野生動物は 「動物園で会う動物」なんですね!
野生動物は「会いに行く動物」であり、「飼育する動物」ではないという意識は、不必要な需要を抑制し、結果として不幸な個体の減少と種の絶滅防止につながります。 動物園などでの観察や教育普及を通じて、野生動物への理解と尊重を深めることが重要です。
日本におけるエキゾチックアニマル飼育の課題
エキゾチックアニマルのペット化にいて触れましたが、これは国内における既存の動物福祉問題とも関連しています。ご存知の方も多いように 日本では年間多数の犬猫が殺処分の対象となっており、安易な飼育放棄や多頭飼育崩壊が社会問題となっています。殺処分は安楽死ではありません。安楽死とは、1995年の横浜地方裁判所の判決で以下のように定義されました。
- 消極的安楽死:苦しむのを長引かせないため、延命治療を中止して死期を早めること。
- 間接的安楽死:苦痛を除去・緩和するための措置を取るが、それが同時に死を早めること。
- 積極的安楽死:苦痛から免れさせるため意図的積極的に死を招く措置を取ること。
動物愛護センターで行われる殺処分の多くは二酸化炭素ガスの注入による窒息死であり、一般的な安楽死の方法である麻酔薬の注射ではありません。
犬、猫を迎えるのも簡単な事ではありません。 彼らはオモチャではなく、命です。 老いていくし、病気にもなります。
さらに野生動物の飼育は、その種の生態的特性を十分に理解した上で、適切な飼育環境や獣医療体制を確保する必要があります。多くのエキゾチックアニマルは、その飼育に関する専門知識が不足しており、専門的な治療を受けられる病院の数はかなり少ないです。
具合が悪くなった時や非常時に助からない可能性が高いのです。
最後に
エキゾチックアニマルへの問題、少しでも理解していただけましたでしょうか?
野生動物の保全には、一人ひとりの意識改革が不可欠です。 野生動物への関心と知識を深め、安易な飼育欲求から保全意識へと転換することで、種の絶滅を防ぎ、持続可能な地球環境の実現に貢献できるのです。エキゾチックアニマルのペット化、 野生動物への興味、知識を皆さんと共有して、意見など交換したいです。 そして動物の未来へと繋げていきたいと考えております。 大好きな可愛い動物が、ずっと見られますように。
(代筆:Ryusei )