タヌキ沼からこんにちは、六(ろく)と申します。
タヌキを好きになったことがきっかけでタヌキのいる動物園を巡っています。
今回はホンドタヌキを飼育している姫路市立動物園に行ってきましたので、気付いたことなどをレポートします!
お城の中の動物園
姫路市立動物園は姫路城の敷地内にあり、1951年(昭和26年)から「お城の中の動物園」として地域の人々に親しまれてきました。
園内からも姫路城の天守閣が見られます。風の無い日はお堀の水面に映る「逆さ天守」を拝めるかもしれません。

園内にもその名の通り「城見橋」という赤い欄干の綺麗な橋があります。

園内の掲示物に注目!
今回の来園で、姫路市立動物園は飼育動物の紹介の掲示物がとてもこまやかだなという印象を受けました。
それぞれの掲示物から飼育員さんの「ぜひこの動物を知ってほしい!」という気概を感じます。
カバのキボコ
こちらは御年41歳(2025年9月時点)のキボコ(希望子)♀です。
1987年(昭和62年)に愛知県の豊橋総合動植物公園からやってきました(『のんほいパーク』の愛称がつく前ですね)。

そしてこちらが動物園ではおなじみの、種や生息地の掲示物です。

それよりも下、ちょうどお子さん達の目線の位置に、イラストと姫路の方言である播州弁でカバの生態を親しみやすく解説した掲示物がありました。
この掲示ひとつで、カバの生態へのとっつきやすさが随分変わりますよね。

こちらには池から顔を出すキボコの模型と名前の由来がありました。
スワヒリ語でカバがKIBOKOであることは今回初めて知りました。

この日のキボコはプールでゆったりと過ごしていましたが、多分キボコも人間のことを観察しているのでしょう。

水中からがっつり視線を感じました。水の中で瞬きをする様子も観察できました。
(レンズが檻から出ないように撮影しています。)

ミニブタ
こちらはミニブタの放飼場です。「うらがえしてね」の言葉に従い木の似顔絵札をひっくり返すと…

どんな個性を持った個体なのか、紹介文が書いてありました。

また、似顔絵をじっくり見ると、オス2頭には牙が生えていることや、個体によって顔の模様が少しずつ違うことがわかります。

この時ちょうど2頭が外で並んで寝ていたので、「君達はいったいどの個体なんだい!」と似顔絵と本物を何度も見比べて、気がついたら10分ほど経過していました。

両者とも牙があるのでオス個体、鼻先に黒い模様があることから右がチンタ♂、そして左がトンタ♂だと思います。
さらに後から通りかかった際に牙の無い個体にも会えました。
顔の黒い模様が目に半分ほど掛かっていることも合わせると、きっとこの個体がなつ♀ですね。

このように、タヌキ目当てで訪れた来園者をミニブタ放飼場前にくぎ付けにした似顔絵の掲示物、すごいと思いませんか?
まるで某ファミリーレストランの間違い探しのように夢中になってしまいました。
これはヒトへの認知エンリッチメントなのでしょうか…。
認知エンリッチメントとは?
好奇心や探求心といった知性を刺激し、動物自身が考えて行動できるようにする工夫のことを言います。
「【みんなのアニマルアカデミア vol.2】環境エンリッチメント ―― 動物の暮らしを良くするために」より

ミニブタ以外にも複数個体の見分け方の掲示物がありましたのでご紹介します。
ワオキツネザル

「顔がちょっとこわい」方がサラ、「耳のかたちが非対称」の方がバニラとのことなので、左がバニラで右がサラでしょうか。
この後お互いに毛繕いをする様子が観察できました。

ワオキツネザルはもう一部屋にも2個体がいて、個体識別まではできたのですが、写真に収めることは叶わず…。

肉眼では認識できるのですが、撮影できるかというと話が変わってきますね。また挑戦します。
アカカンガルー
オス1体メス2体、そして今年7月に袋から顔を出した仔カンガルーの4頭がいました。

全員集合写真!と思いきや、給餌の準備をする飼育員さんが気になるようで誰もこちらを向いていませんでした。

仔カンガルーは大人達の半分程の大きさでした。まだまだかわいらしい姿です。

他にもミーアキャットやケヅメリクガメ、エリマキキツネザル、ミナミコアリクイなどに個体紹介の掲示物がありました。
ミニ牧場のヤギたちの似顔絵札も、裏側にどんな個体なのかが書かれていましたよ。

動物園の飼育個体に愛称を付けることについては様々な意見があるかと思いますが、自分は同じ種の中での各個体の模様や体格、行動の違い、個体同士のコミュニケーションの取り方などを観察することが好きなので、個別の掲示物があるととても嬉しいです。
愛称の是非についてはこれからも自分の中で考えていきたいと思います。
その他の面白いと思った展示
爬虫類館のコーンスネークの横に、名前の由来になったと言われるトウモロコシ(の芯を乾燥させたもの)も展示されていました。

似てる…かな?
実がついてるトウモロコシならちょっと似てるかも…?

卵の展示
姫路市立動物園にはダチョウ、ミナミジサイチョウ、ウコッケイ(烏骨鶏)など数々の鳥類も飼育されています。
そんな鳥たちが産んだ卵のうち、ふ化に至らなかった卵の実物が展示されていました。

また、上段にはなんと動物のウンチの展示まで。
こちらはキリンとシマウマのウンチです。


キリンの方が体が大きいのに、ウンチはシマウマの方が大きいんですねぇ。
まだまだいるぞ、動物たち!
ライオンのカイオとマト
オスライオンのカイオと

メスライオンのマトです。

檻の目が細かいので写真に収めるのはなかなか難しいですが、この時は2頭とも檻の手前側でゆったりと過ごしてくれていたので、ありがたく思いつつ肉眼に焼き付けてきました。
こちらはマトの肉球です。良いですねぇ…。

カイオ♂もマト♀も2008年生まれの17歳です。
これからも2頭で穏やかな時間を過ごしていってほしいです。
カラカルのクルン
姫路市立動物園では、日本国内では希少なカラカルのクルンも飼育しています。
今回の来園では、すらりとしたお座り姿を見ることができました。
次はぜひ素敵な形のお耳も見てみたいですね!

クルンについてはカラカル愛好家の樅原もえぎさんの記事もぜひお読みください。

ホンドテンのそら
そらは今年の5月から展示され始めた昨年生まれの保護個体です。
若い個体らしく、元気よくパイプの中に隠れたりボールで遊ぶ様子を観察できました。

来園した日のそらは夏毛で、顔が黒い体毛でした。冬には黒い部分が白い毛に変わるそうです。
冬毛の時期も楽しみです。
ホンドタヌキのオクベエ
お目当てのホンドタヌキ、オクベエにも会うことができました!
尻尾の毛がややもっふりし始めていました。季節の移ろいを感じます。

オクベエは今年2025年9月15日に長寿動物としてお祝いされています。
9月15日は敬老の日です。
姫路市立動物園では、長寿のお祝い会を開催しました。
今年のお祝いは、ホンドタヌキのオクベエです。
オクベエは、今年推定12歳。ちなみに、ホンドタヌキの寿命は、野生では5から8年と言われています。
姫路市立動物園「姫Zooぶろぐ」より
ちなみに、ブログ内で紹介されていたオクベエの新しい小屋は、私が来園した日には既に設置されていました。
まだちょっと様子見中?な雰囲気でしたが、いつか新居でのんびり過ごすオクベエが見られるといいなと思います。

「お城の中の動物園」のこれから
カラカルのクルンの項目でご紹介した記事内でも触れていましたが、姫路市立動物園は現在移転の計画が持ち上がっています。
開園から70年を迎え獣舎などの施設が老朽化していますが、特別史跡に指定されている姫路城内部に位置するために、施設の改修などを容易に行えないなどの理由があるようです。
具体的な移転場所はまだ決定していませんが、既に一部の動物は他園への移動が開始されているそうです。
わんぱーくこうちアニマルランドもかつては「高知城動物園」として高知城の中にありましたが、移転を経て現在の場所に移りました。

動物園内からの姫路城も、いつかは見られなくなってしまうかもしれません。
とはいえ!今現在は見に行くことができます!興味がある方はぜひ行きましょう!
現在の姫路市立動物園はその立地の良さにもご注目いただきたいです。
JR姫路駅から徒歩20分、新幹線のぞみ号が停車する駅から徒歩20分です。
つまり西日本の動物園や水族館に来園したあと姫路に移動して一泊、
翌日朝から姫路市立動物園を楽しみ、駅弁を買って新幹線でゆったり関東圏に移動することも可能なのです。
年末年始以外であれば月曜日も営業しているので、土日遠征プラスもう1日を姫路で過ごすのも有りではないでしょうか。
※2025年9月時点の情報です。
のぞみ号は毎時1本程度姫路駅に停車します。営業日は念の為、来園前に公式サイトを一度ご確認ください。
動物園サポーターについて
姫路市立動物園は動物園サポーター制度を設けています。
個人は一口1,000円から受け付けており、受け付けから1年間入園料が無料になります。実質年パスです。
一口につき「ひめじ・ズーフレンド」缶バッジを一ついただけます。
ラインナップはその時々で変わるそうですが、園内ポスターに写真があるライオン・カバ・カピバラ以外にも24種ほどありましたので、お気に入りの動物がいる方はぜひご検討ください(回し者ではないです)。
今回私も動物園サポーターを申し込んできました。
ホンドタヌキの缶バッジをいただきました。公式のタヌキグッズだ…!嬉しい!
施設の基本情報
名称:姫路市立動物園
所在地:兵庫県姫路市本町68番地 姫路城東側
開園年:1951年12月1日
開園時間:9:00-17:00(入園は16:30まで)
休園日:12月29日から翌年1月1日まで(定休日なし)
入園料:大人250円、5歳~中学3年生50円(団体割引あり)
おわりに
以上「お城の中の動物園」、姫路市立動物園に初めて行ってきたレポートでした。
帰りの電車の都合で午前中3時間ほどの滞在だったのですが、ぜんぜん時間が足りなかったので今度はもう少しゆっくりできる旅程を組みたいです。
(近隣の姫路城も県立歴史博物館も市立美術館も気になってます。)
紹介しきれなかった動物たちもいますし、動物園サポーター限定のイベントも開催されるそうなので、今後も引き続きレポートしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。