中学3年生の視聴者の方からいただいた内容をもとに、ZooPortalで代筆・編集した記事です。
高知県の特別な動物園について
わんぱーくこうち(正式名称:和の森わんぱーくこうち)は、高知県高知市桟橋通にある無料の動物園です。1993年4月2日に開園し、高知市制100周年記念事業として建設されました。もともとは1950年から高知城の敷地内で運営されていた「高知城動物園」が、より広い場所に移転してできた施設です。
この動物園の最大の特徴は入園料が無料ということです。日本でこれほど充実した動物園が無料で楽しめるのは珍しく、地域の人々に愛され続けています。
有名な3頭のチンパンジーの物語

タロー(太郎)- 日本最高齢の男性チンパンジー

わんぱーくこうちで最も有名な動物は、62歳(2025年7月現在)のオスのチンパンジー、タローです。1963年にアフリカで生まれ、食用やペットとして売られそうになっていたところを、心優しい日本人に救われて日本にやってきました。
タローは日本で2番目に長生きしているチンパンジーで、オスとしては日本一の長寿を誇ります。一般的にチンパンジーの寿命は40-50年なので、タローの62歳は人間でいえば100歳を超える年齢に相当します。
2023年7月15日には、還暦(60歳)の誕生日を祝う特別なイベントが開催されました。飼育員の方々もタローの高齢を敬い、「タローさん」と呼んでいるそうです。性格は独立心が強く、食べ物に集中している時は飼育員の呼びかけを無視することもあるマイペースな性格です。
コータ – 隔離された35歳のチンパンジー
1989年生まれの35歳のオス、コータは、攻撃的な性格のため他のチンパンジーと一緒に飼うことができず、一頭だけで暮らしています。安全上の理由から隔離が必要ですが、アニマルギャラリーでガラス越しに観察することができます。
ヤマト – 最年少の25歳
1999年生まれの25歳のオス、ヤマトは3頭の中で最も若いチンパンジーです。以前はストレスによる問題行動が見られましたが、現在は適切なケアにより改善されています。
3頭の現在の状況


重要な点は、3頭のチンパンジーは現在すべて別々に飼育されているということです。本来群れで生活するチンパンジーにとって、この状況は動物福祉の観点から議論の対象となっています。しかし、安全上の理由から現在もこの体制が続いています。
動物園の歴史と施設の特徴
高知城動物園からの変遷
元々の高知城動物園は1950年に「南国高知産業大博覧会」の一環として開園し、43年間「お城の森の動物園」として親しまれていました。しかし、スペースの制約や動物福祉の向上のため、1993年に現在の場所に移転しました。
アニマルギャラリーの魅力

チンパンジーたちが暮らすアニマルギャラリーは、動物園の目玉施設です。ガラス一枚を隔てるだけで動物たちを間近で観察できる設計になっており、チンパンジーの表情や仕草を詳しく見ることができます。動物たちも人間に気づくとガラスに近づいてくることがあり、まるで会話をしているような体験ができます。
保護活動と研究
わんぱーくこうちは土佐清水サンショウウオの繁殖に日本で初めて成功した動物園としても知られています。2011年に繁殖に成功し、2018年には新種として認定されました。現在も4頭のオスが展示されており、絶滅危惧種の保護に貢献しています。

X(https://x.com/KochicityZoo/status/1882216680727720404)
その他の動物について
マントヒヒ「シーマ」

アニマルギャラリーにはマントヒヒのシーマもいます。わんぱーくこうち生まれで2025年の11月で31歳になります。かなり高齢ではあります。肩から背中にかけて長い毛が生えており、まるでマントを着ているように見えることからこの名前がつきました。人間のようにあくびをしたり、表情豊かな行動で来園者を楽しませています。
実はシーマは遺伝子の変異により、シャム猫のような珍しい体色をしています。
国内最高齢のシマウマ「ペレット」

わんぱーくこうちにはグランドシマウマのペレット(28歳 2025年7月時点)もいます。2025年に多摩動物公園で飼育されていたグレービー・シマウマのナギが亡くなったため、ペレットが国内最高齢のシマウマになりました。シマウマの平均寿命は20~25年なので、28歳のペレットは人間でいえば80歳を超える高齢です。
スマトラトラ「アバディ」



上野動物園で生まれたスマトラトラのオス「アバディ」(1歳)が、一般公開され、注目を集めています。施設不足のため高知で飼育されることになり、4月から展示が始まりました。展示場を元気に歩き回る姿や食事風景が来園者を楽しませています。飼育スタッフは「運動する姿がかっこいいので見てほしい。将来は繁殖にも期待している」と話しています。
その他の動物たち



現在、わんぱーくこうちには約100種、570頭の動物が飼育されています。主要な動物には:
- 大型動物: ライオン、スマトラトラ、ジャガー
- 鳥類: 36羽のフラミンゴ(3種類)、各種インコ、クジャク
- 地域の動物: ニホンカモシカ、ホンドタヌキ、土佐清水サンショウウオ
動物園の魅力とユニークな特徴
「にんげんのオリ」
わんぱーくこうちの名物は「にんげんのオリ」です。来園者が檻の中に入って写真を撮ることができる人気スポットで、動物の立場を体験できるユニークな展示です。
災害対策
この動物園は海に非常に近い立地にあるため、津波対策として動物用の避難台が設置されています。これはクラウドファンディングで資金を集めて建設された、日本でも珍しい災害対策施設です。
教育プログラム
飼育員による出前授業も行っており、学校に直接出向いて動物や環境について教える無料プログラムを実施しています。30分から120分まで、対象年齢に応じた内容で行われています。
施設の基本情報

https://www.kano-kensetsu.com/news/2691/
- 正式名称: 和の森わんぱーくこうち
- 所在地: 高知県高知市桟橋通6丁目9-1
- 開園年: 1993年4月2日
- 開園時間: 9:00-17:00(水曜日休園)
- 入園料: 無料
- 駐車場: 無料(125台)
- 面積: 4.5ヘクタール(東京ドームとほぼ同じサイズ)
まとめ
わんぱーくこうちは、長寿のチンパンジー・タローをはじめ、国内最高齢のシマウマ・ペレット、愛らしいホンドタヌキのポンコなど、たくさんの魅力的な動物たちが暮らしています。入園料が無料なのも嬉しいポイントです。
アニマルギャラリーでのガラス越しの近距離観察では、チンパンジーたちの表情や仕草を詳しく観察することができ、他の動物園では味わえない特別な体験ができます。また、ライオンやトラ、ジャガーなどの大型動物から、ニホンカモシカのような地域の動物まで、幅広い種類の動物を見ることができます。
チンパンジーたちの複雑な状況は動物福祉について考えさせられる一面もありますが、それも含めて現代の動物園が抱える課題について学ぶことができる貴重な施設だと思います。たくさんの動物達に会いに行ってみても面白いと思うので、ぜひ遊びに行ってみてください。