こんにちは、二枚貝ホタテです。
去る2026年1月27日、双子のジャイアントパンダ、レイレイ(蕾蕾)とシャオシャオ(暁暁)が中国へ旅立ちました。2頭は2021年6月23日に上野動物園でシンシンとリーリーの間に生まれた双子で、両親は2024年9月29日に中国に帰国しています。
また、和歌山県にある南紀白浜アドベンチャーワールドにいた良浜、結浜、彩浜、楓浜も2025年6月28日に返還されました。2026年2月現在、日本国内に生きたジャイアントパンダは1頭もいません。

2月14日、ジャイアントパンダ不在となった上野動物園を訪れました。
上野動物園 2つのパンダエリア
上野動物園は東園と西園に分かれており、ジャイアントパンダを飼育していた施設はそれぞれにあります。
まずは1988年から存在する2代目パンダ舎。東園の正門から入ってすぐのところにあります。レイレイとシャオシャオの姉であるシャンシャン(香香)は2023年2月21日に中国へ行くまでここで飼育されていました。
2026年2月14日現在、このエリアの中に入ることはできませんが、かわいらしいタイルの写真を撮影する方も見受けられました。




2つめは西園にあるパンダのもり。2020年9月8日にオープンしたエリアです。「もり」という名前には森の他に「守」という意味も込められています。
元々東園2代目パンダ舎で暮らしていたシンシン・リーリーはパンダのもりに移動した後、レイレイ・シャオシャオが生まれ、4頭はここで暮らしていました。
3月1日までの期間限定で、展示場を見ることができ、彼らが暮らしていた場所、遊んでいた道具、貴重な映像を見てきました。




パンダのもりにはジャイアントパンダと同じ中国に暮らす動物たちが展示されています。中国に生きる4種類の動物たち。ぜひご覧ください。
赤きパンダ
まずはレッサーパンダです。レッサーとは「より小さい」という意味ですが、「より劣った」という意味もあるため、昨今はレッサーという言葉を使わずレッドパンダと呼ぶこともあります。
上野動物園のレッサーパンダの展示場には木が生えており、高い木の上に登る様子が観察できることもあります。
運がよければ飼育員がリンゴをガラスに貼りつけて与えるところが見られるかもしれません。上野動物園はエサの時間を公に告知しない動物園なので、見れたらラッキーですね。





派手すぎるイケメンバード
レッサーパンダの隣には3種類の鳥が暮らしています。レッサーパンダに近い方から順にキンケイ、ベニジュケイ、ギンケイです。全てキジ目キジ科に属します。子育てを担当するメスは地面に紛れ見つかりにくい茶色っぽいカラーリング。逆にオスはメスへの求愛のため、個性豊かな派手な配色です。
キンケイ
まずはキンケイ。”金鶏”という名前のとおり、鮮やかな金髪が特徴です。
頭の金髪も美しいですが、体全体も華々しいです。背中は光沢のある緑。おなか側は真っ赤。腰のあたりは黄色。とにかく派手すぎる。




ベニジュケイ
次はベニジュケイ。紅という名前で、体もオレンジ色に近い茶色です。でも注目すべきは青い顔。普段は小さく目立たない肉垂という部分が、求愛の時に下に向かって広がるのです。

ちなみに画像のオスは網を境に向こう側にいる、キンケイのメスに対して求愛をしていました。絶対にかなわない恋。
ギンケイ
最後はギンケイ。キンケイと同じ属の近い仲間です。
さすがに銀色というわけではありませんが、白い頭が美しい鳥。キンケイ同様、背中には光沢のある濃い緑の羽根が輝いています。


頭に生える鱗のような羽根でクチバシを隠すこともあります。鳥に見えない謎の生き物に変身!

キンケイもベニジュケイもギンケイも、ジャイアントパンダに負けない個性をもった魅力的な動物たちです。優雅でスマートなようにも、お茶目でひょうきんなようにも見える、二枚目で三枚目なイケメンバードをぜひご堪能ください。
これからどうなる?パンダのもり
この記事を執筆している2026年2月現在、ジャイアントパンダが日本に来る予定はありません。22億円をかけて建設した「パンダのもり」を使わないなんてもったいない。そしてなにより、1972年の初来日から2026年まで50年以上に渡り飼育してきた動物園職員たちのノウハウが無駄になってしまいます。
一方で、ジャイアントパンダは日本にいらない、上野動物園で飼育しなくてもいいという意見もあります。そもそも動物園が持つ資源、具体的には飼育員の人員や資金、動物を飼育する敷地ですが、これらには限りがあります。無制限に動物を飼育することはできませんから、この動物は飼うけどこの動物は飼わないという取捨選択をするしかありません。
話は変わりますが、野生動物たちが今どれくらいピンチなのかを考えたいと思います。国際自然保護連合(IUCN)がレッドリストを公開しています。生物が絶滅の危機に瀕しているかをランク付けしたものであり、つまり生物がどれくらいピンチかを表しています。ジャイアントパンダはVU、危急種というランクです。
では、ランクごとにどんな動物がいるかを見てみましょう。
まずはジャイアントパンダと同じVU。他にはホッキョクグマ、ライオン、チーター、コツメカワウソ、カバなどがいます。
もっとピンチなランクであるEN。ここにはトラ、レッサーパンダ、ラッコ、アジアゾウ、シロナガスクジラ、オカピ、コビトカバ、アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナといった動物が入っています。
日本の動物園ではたくさんのレッサーパンダが見られますが、IUCNの評価ではジャイアントパンダよりレッサーパンダの方がピンチなんですね。
ジャイアントパンダ、オカピ、コビトカバの3種の動物を世界三大珍獣といいます。オカピとコビトカバはENで、ジャイアントパンダのみVUです。実はジャイアントパンダもかつてはENだったのですが、2016年にVUへと変更されました。
ENよりもさらにまずい状況、野生に生きている動物としては最も深刻なのがCR。マルミミゾウ、クロサイ、ゴリラ2種、オランウータン3種、カカポなどが該当します。水族館でたまに見るサメのシロワニもCRに指定されています。
VUのジャイアントパンダも決して安心できる状況ではないのですが、ENやCRに指定されている、もっと酷い状況の動物がたくさんいます。それなら、ジャイアントパンダより危機的状況にある動物を守ることに資源を注いだ方がよいのではないか、という意見もあるでしょう。そこまでピンチでもないジャイアントパンダに大金をつぎ込むくらいなら、有名ではないけれど人知れず減っている動物の保全をがんばってほしい、そう思うことがあります。私は動物の中でも特に貝類が好きなのですが、日本の池や干潟には貝の愛好家以外からは見向きもされないような地味な貝がたくさんいて、その中には絶滅が危惧される希少種も多くいます。パンダのような目立つ動物の保護に充てられる資金を、少しだけでも貝類や、日の目を浴びないかわいそうな生物たちのために使ってほしいというのが本音です。
それでも、ジャイアントパンダが動物園にいる意義はあります。動物と人をつなぐ架け橋として大切な存在だからです。
人気が高く、環境保全のシンボルマークとして重要な役目を持つ生物がいます。このような生物種をフラッグシップ種と言います。ジャイアントパンダはフラッグシップ種としての役目を持つことができる動物です。ジャイアントパンダのおかげで動物を好きになり、そして動物の危機を知り、自然環境を守ろうと考えるようになる…そんな人が増えてくれるなら、ジャイアントパンダを優先して飼育した方が、最終的には自然のためになるのかもしれません。
ジャイアントパンダは人気という面で唯一無二の存在です。ずいぶんと人間本位の身勝手な話ですが、これからジャイアントパンダに是非とも来日してたくさんの人に見てもらい、そして動物たちのことを守りたいと考える人が増えてほしいし、そのためにジャイアントパンダが効果的ならば、どうか力を貸してほしいと願います。
上野動物園はこれからどうなるのでしょうか。どのような形であれ、ジャイアントパンダを飼育する施設やノウハウが、動物たち、そして自然環境のために有効活用されることを望みます。




東京ズーネット
ジャイアントパンダ「シャオシャオ」「レイレイ」最終観覧のようす
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=ueno&link_num=29508
東京ズーネット
ジャイアントパンダの双子「シャオシャオ」「レイレイ」が満1歳になりました──「祝う会」と2頭のようす
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=ueno&link_num=27462
東京ズーネット
ジャイアントパンダ「リーリー」と「シンシン」の返還について(※中国ジャイアントパンダ保護研究センター碧峰峡基地に到着)
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=ueno&link_num=28750
東京ズーネット
【近況更新】シャンシャンの中国返還について──無事に到着しました
https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=ueno&link_num=27877
アドベンチャーワールド
4頭のジャイアントパンダの帰国日が決定しました2025年6月28日(土)に中国・成都へ帰国、6月27日(金)に歓送セレモニーを開催
https://www.aws-s.com/topics/detail?id=top4272
日経XTECH
上野パンダの豪邸リフォームの舞台裏、“双子の親離れ”も密着リポート
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/01560/
IUCN Red List
https://www.iucnredlist.org/

