大森山動物園とは
秋田市中心部に位置する千秋公園内に1950年、児童動物園が開園。1969年、市中心部から約8km離れた大森山に公園を整備する計画が出され、1973年に移転し、開園したのが秋田市大森山動物園です。
1991年に市政100周年記念事業でアフリカゾウ・アミメキリンが来園して以来、新たな獣舎の建設が始まり、年々変わっています。豪雪地帯でも知られる秋田県。雪が積もる地域ならではの工夫も行われています。そんな大森山動物園の施設、注目してほしい動物を歴史と共にご紹介します。



入り口のモニュメント


モニュメント「いっしょだよ」
モデルとなったのは、2001年8月19日に大森山動物園で誕生したオスのアミメキリンと母親のモモ。来園者の投票により「たいよう」と名付けられました。2002年3月24日、運動場でシマウマと衝突する事故が発生し、右前脚の骨折が発覚しました。キリンは脚を骨折すると、自力で立てなくなり、死につながります。幸いにも、「たいよう」は骨折した脚をかばいながら、200kg近い体を三本の脚で支えていました。麻酔下で骨折した部分をギプスで固定する手術が行われました。無事に麻酔から覚め、「たいよう」は立ち上がりました。
その後は食欲が低下していき、1週間後に行った検査の結果、患部の壊死が発覚。断脚が決断され、なくした脚の代わりとなる義足を装着することに。しかし、立ち座りがうまくできず、何度もずれてしまう義足。よりよい義足を制作するため、6月18日に麻酔下での義足の型取りが決定。術後、目を覚ました「たいよう」は立とうとして倒れ、その後死亡しました。87日間を不自由な脚で生き抜いた「たいよう」と、懸命に支えたスタッフの記憶を残すために、2年後の2004年、この像が寄贈されました。

王者の森
2000年頃までは開園時に建設された総合動物舎でツキノワグマ、シンリンオオカミ、ヒョウ、ジャガー、ユキヒョウ、ライオン、トラ、チンパンジーが展示されていました。
30年近く使用された獣舎はコンクリートの床に鉄の檻。面積も限られていました。2003年にリニューアルし、5倍の広さになった猛獣舎が「王者の森」です。

「王者の森」では繁殖を目指した取り組みが行われ、ライオン、ツキノワグマは完成に合わせて新たに来園した個体の間で繁殖に成功。シンリンオオカミは新たな個体が来園し、群れづくりが行われました。

- ツキノワグマ
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「♀もえぎ」「♀わかば」
「♀ルイ」
「♂バッケ」 - ライオン
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「♀ミミ」「♀ルル」「♂ヴェヴェ」
「♂バロン」「♀バルミー」
「♂GO」「♂イチロウ」「♂ロクイチ」「♀なお」 - アムールトラ
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「♂アルル」「♀ミルル」
「♂令」「♀和」「♂風」「♀月」 - ユキヒョウ
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「♀ヒカリ」








ホッキョクオオカミ
北米大陸の北端から北極にかけての地域やグリーンランド北部に生息。タイリクオオカミの亜種で、生息地はマイナス50℃以下になることも。全身は白い毛並み、鼻口部が短く耳が小さいことで熱の放出を抑え、寒い中でも体温を保つことができます。
一年を通して白い毛であること、人がほとんど足を踏み入れない極地に生息し、野生での姿を目にする機会が少ないことから「幻の白いオオカミ」と呼ばれます。「パック」と呼ばれる家族単位の群れで行動し、リーダーの統率のもとで役割を分担して獲物を追い詰めます。
オオカミの飼育は1987年に来園したタイリクオオカミの亜種シンリンオオカミ(当時の表記はアラスカオオカミ)から始まりました。大森山動物園では1996年から計6頭のシンリンオオカミが飼育されました。(6頭は壁画「思い出に残るシンリンオオカミたち」に描かれています)2012年からはオス「シン」、メス「ジュディー」の生活が続き、2022年に高齢となった2頭は冷暖房が完備された動物病院へ。
そして2022年、ドイツの動物園から新たに3頭のホッキョクオオカミが来園しました。
現在はオス「ムーン」、メス「ルーシー」、メス「ニッキー」が展示されています。






イヌワシ舎


1989年にイヌワシの繁殖を目指し、建設された高さ10m、広さ100m²のケージのある施設です。イヌワシだけではなく、ワシミミズク、シマフクロウなどの日本に生息する猛禽類が飼育されています。シマフクロウは2019年に来園し、26年ぶりとなる本州での飼育となりました。現在は2023年に来園した2羽を飼育。産卵・抱卵は確認されており、有精卵の誕生が待ち望まれています。


ニホンイヌワシ
北海道、本州に分布。翼開長は2m近くに達し、後頭部から首にかけての金色の羽の輝きから英名は「Golden eagle」。基本的に一生に一度つがいを組む鳥で、ペアには強い絆があると考えられています。縄張り内に複数の巣をもち、同じ巣を修復しながら何年も使い続けます。通常2個の卵を産みますが、兄弟間闘争により2番目の雛はほぼ確実(99%)に死亡するとされています。





イヌワシと歩んだ50年
飼育の始まり
1965年に国の天然記念物に指定されたニホンイヌワシ。
1970年には鳥海山でイヌワシの営巣岩棚が確認され、同年、林道脇で2羽のニホンイヌワシが保護されていました。救護飼育された2羽は千秋公園に引き取られます。オスは「鳥海」、メスは「白滝」。3年後には大森山動物園に移され、1979年に「白滝」が産卵。卵は孵卵器に入れられましたが、孵化することはありませんでした。
「白滝」は1989年に死亡。田沢湖町で保護されたメス「たつ子」が来園し、「鳥海」から採取した精子を使っての人工授精の挑戦も始まりました。


初繁殖は東京都多摩動物公園
1993年には田沢湖町で保護されたメス「小町」が来園。1996年に国の保護増殖事業が策定され、繁殖技術の確立を目的とし、東京都多摩動物公園へ搬出されます。1998年、東京都多摩動物公園でメス「柴」、メス「小町」が産卵・孵卵に成功し、国内初の繁殖成功となりました。前述した通り、雛は闘争によって1羽しか育たない場合がほとんどですが、「小町」は2羽の雛を育て上げ、翌年の1999年にも2羽の雛を育て上げています。2001年には大森山動物園に「柴」が育てたオス「信濃」が来園し、メス「たつ子」とペアになります。
念願の繁殖
2003年についに待望の雛が誕生。「たつ子」「信濃」ペアは初めての雛を育て上げ、記念すべき最初の雛は市民から「空」と名付けられました。2005年には2羽が孵化したものの兄弟間での闘争が発生したため、攻撃を受けた1羽を人工保育に切り替え、成長してから親元へ戻すことになりました。その後、親元に戻された雛は親や兄弟を怖がり、餌を取れずに死亡してしまいます。
2005年には3つの卵が産まれ、3つとも孵化しました。前回の経験をもとに、攻撃された雛を保護するのではなく親に預け、残りの2羽を一時的に人工育雛に切り替え、数日後、親に預けている雛と人工育雛している雛を入れ替えることで、親は1羽だけの子育てに専念し、全羽を親に慣れさせることで、大森山動物園独自のローテーション育雛方法が確立されました。生後1か月になると雛の闘争は起こらず、「たつ子」と「信濃」、メス「手取」、オス「望」、オス「風斗」の5羽のイヌワシの同居に成功しました。

有精卵の移動
一方、「鳥海」は2005年からメス「西目」とペアになったものの、無精卵の状態が続いていたため、2010年に「たつ子」が産卵した有精卵と取り換え、仮親として育雛してもらうことに。結果、孵化・育雛の経験がないペアでも育てることが確認されたため、2012年には「たつ子」が産卵した有精卵を大森山動物園から約100km離れた盛岡市動物公園に陸路で移動させ、同じように子育ての経験がないペアから産まれた卵と取り換える取り組みが行われました。メス「空」(2003年にたつ子から誕生)とオス「出羽」(1999年に小町から誕生)は取り換えた卵を受け入れ、メス「朝日」が誕生。
翌年は800km離れたいしかわ動物園へ空路での移動。秋田県とは気候が異なるいしかわ動物園で飼育されていたペア、メス「手取」(2005年にたつ子から誕生)とオス「白山」(2006年に小町から誕生)は早い時期に産卵が確認されたため、一度卵を回収して再度産卵してもらうことで無事、取り換えに成功し、2羽が孵化。ローテーション育雛が実施され、1か月後にはオス「大日」、メス「梯」を合流させることに成功しています。

一日でも長く
野生での寿命は10~20歳と推定されるニホンイヌワシ。2014年、推定44歳となった「鳥海」は飛ぶことができなくなり、非公開施設へ。2016年には園内で鳥インフルエンザが発生。「鳥海」は感染防止のため、シートをかぶせたケージで暮らすことになりました。約1ヶ月の隔離生活の末、感染は免れましたが、狭い空間での生活が続いたせいか自力で立つことができなくなり、危険な状態が続きました。2017年には世界最高齢のイヌワシとして、日本動物愛護協会から日本動物大賞功労動物賞が授与されました。同年4月に推定47歳で死亡しました。
近年の繁殖
2023年に「信濃」は死亡。現在は「西目」が新たなペアとの繁殖に挑戦しています。2025年には「西目」の有精卵を大阪府の天王寺動物園に移動。天王寺動物園のオス「朱鷺」メス「姫神」ペアによって孵化し、オス「あやめ」が誕生。2026年には過去に有精卵を取り換えた盛岡市動物公園ZOOMOのペアの間に2羽の雛が誕生。ローテーション育雛法によって2羽とも成長しています。

さるっこの森

新世界ザルという南米原産のノドジロオマキザル、ボリビアリスザル、コモンマーモセットを飼育する施設です。以前の新世界サル舎の老朽化、気温が低い時期の展示が課題となり、来園者の休憩所を兼ねた屋内展示場を設けた施設として2011年に完成しました。



ノドジロオマキザル
南米コロンビア北部と西部までの中央アメリカの乾燥林や湿潤林に生息。
喉以外にも顔から胸までが白い毛で覆われており、毛の生え方は個体によって様々です。長い尾は、体を支える役割をもち、「第3の手」と呼ばれるほど器用に使います。パナマのヒカロン島では石で地面に置いたナッツを砕く姿が発見されており、知能が高いことから南米のチンパンジーとも称されます。
10頭から数十頭の複雑な社会性を持つ群れを形成し、メスは一生を生まれた群れで過ごす母系社会です。群れの中には順位があり、優位なオスほど子孫を残せます。
大森山動物園では1976年に園に持ち込まれたメス「三平」から飼育が始まり、繁殖にも成功しています。現在は孫にあたる5頭が一つの群れで生活しています。順位ではメスの「カオル」(2012年に大森山動物園で誕生)がトップのようです。






チンパンジーの森・天空の楽猿
王者の森付近にあった旧チンパンジー舎は檻を使ったコンクリートの施設であったため、樹上性のチンパンジーが登れる場所の確保、敷地の拡張のために2001年に完成したのがチンパンジーの森です。屋外展示場は檻の代わりに水堀を採用したことで観察しやすく、室内展示室では屋外展示場をガラス越しに見られ、屋内展示場もあるので同時に2つの群れを展示することができます。
現在はオス「ボンタ」とメス「ジェーン」のペア、このペアから2005年に誕生したオス「ジェイタロウ」と、不定期でオス「コタロウ」(2005年に大森山動物園で誕生)が展示されています。





天空の楽猿は、以前あったサル舎、爬虫類の部屋(爬虫類展示施設)、トキ舎が1つになった施設です。屋上には階段・エレベーターで登ることができ、連絡橋でチンパンジー舎の屋上に行くことができます。展示されているのは、以前からサル舎で飼育されていたキツネザル科のサル、ワオキツネザル、クロシロエリマキキツネザル、オナガザル科のサル、ブラッザグエノン、アビシニアコロブス。2020年には施設の完成に合わせて初飼育となるフクロテナガザルが2頭来園し、2021年・2023年に繁殖に成功しています。現在は4頭になり、「歌」とも呼ばれる鳴き声が園内に響いています。













アビシニアコロブス
アフリカ中部から東部にかけての森林に生息。アビシニアとは現在のエチオピアのこと。現地では「ゲレザ」(神のつかい)と呼ばれ、毛皮で飾った楯を持っていることが、この上ない名誉でした。
体は光沢のある黒色で、肩から背中にかけて白く長いマントのような毛が生え、尾の先端にも白い房がついています。主に樹上で生活しており、数頭から十数頭の群れを形成します。オナガザル科コロブス亜科はリーフイーターと呼ばれ、木の葉を食べることに特化したサルです。3つに分かれた大きな胃をもち、消化酵素をもつ微生物の力を借りて繊維質の多い葉を効率よく消化しています。
生まれたばかりのアビシニアコロブスは体毛が全身真っ白です。群れの中で目立つ存在で、母親以外の群れのメスも一緒になって子育てに参加します。




アソヴェの森
アソヴェの森は飼育施設ではなく、園内の高低差を緩和するために2009年に建設された空中観覧遊具です。遊具には年齢制限がありますが、動物を様々な角度で観察できる通路として利用できます。



マーコール
ヒマラヤ山脈の西部に連なる標高500メートルから3500メートルの山岳地帯に生息。
パキスタンの国獣であり、野生のヤギ類では最大級。家畜ヤギの原種の一つと考えられています。別名はネジツノヤギ。オスにはコルクの栓抜き状に曲がった角、メスには小さい角が生えます。角は生え変わらず、生涯伸び続けます。急斜面を生かした展示場で2004年から飼育されており、アソヴェの森が完成したことで、さらに観察しやすくなっています。



注目のまんまタイム・どうぶつ解説
大森山では、動物たちの食事風景を飼育員の解説つきで見ることができるイベントが定期的に行われています。予定は園の公式HP、園内に掲示されている予定をご確認ください。




どうぶつ学ぼーど
展示場付近に設置されている、飼育員だからこそ知っている動物の情報が詰まった情報ボードです。内容は毎年更新されているので、ぜひ探してみてください。

雪をまとう
冬季の動物の生態を知ってもらうために1990年から「冬の観察会」がスタート。2005年からは「雪の動物園」として1月から2月は、土日祝日のみ雪の動物園として開園します。雪をまとった動物園で普段とは違った姿を見ることができます。
- 通常開園:9:00~16:30[休園日なし]
- 冬季開園:10:00~15:00[土・日・祝日のみ開園]
















