動物ガチ勢の“ガチ勢の為の”動物図鑑第5回は…ハイラックス!!
今回は特定の種ではなく、イワダヌキ目全体に着目してお届けします。
ネズミ?ゾウ?サイ?何なの??
魅力的過ぎるのに、もっとこの生き物の事を知ってほしい!!そんな魂の叫びを込めた記事をお届けします!
前置きはこの辺にしておいて…
さあ、知られざるたちハイラックスたちの世界へ..!!!
“ハイラックス”って何?

ハイラックス(イワダヌキ)と呼ばれる生き物は世界に5種存在します。
- ケープハイラックス(ハイラックス属、学名:Procavia capensis)
- キボシイワハイラックス(イワハイラックス属、学名:Heterohyrax brucei )
- ヒガシキノボリハイラックス(キノボリハイラックス属、学名:Dendrohyrax validus)
- ニシキノボリハイラックス(キノボリハイラックス属、学名:Dendrohyrax dorsalis)
- ミナミキノボリハイラックス(キノボリハイラックス属、学名:Dendrohyrax arboreus)
その中でも日本でみられるのは2種類、ケープハイラックスとキボシイワハイラックスのみです!
ケープハイラックスは国内でも広島市安佐動物公園やよこはま動物園ズーラシア、恩賜上野動物園など国内でも比較的多くの動物園で展示されていますが、キボシイワハイラックスは国内2か所、埼玉こども動物自然公園とごかつら池どうぶつパークでのみ展示されています!
Ryuseiなかでもごかつら池どうぶつパークではケープハイラックスも飼育しており、国内で唯一比較して観察することができます!!




体重3-5Kg、体長30-60センチメートル程度の小型草食哺乳類ですが、彼らは一般的に“ゾウに近縁な動物”として知られています。しかも、骨格的に見ればサイに近縁であり、胃の構造はウマに似ています。歯に関しては、上顎門歯が齧歯目、上顎臼歯がサイ、下顎臼歯がカバに似るというなんかもう訳が分からない生き物です。
ゾウの仲間と言ってしまうと少し語弊があるのですが、最も近縁な動物をたどるとゾウなどということです。



個人的に、上顎門歯は齧歯目よりもゾウに形状が似てる気もしてます…
(ご指摘ありがとうございました!)
- ハイラックス(イワダヌキ):哺乳綱 真獣下綱 アフリカ獣上目 イワダヌキ目 ハイラックス科
- ゾウ:哺乳綱 真獣下綱 アフリカ獣上目 長鼻目 ゾウ科
動物の基本分類階級:界・門・綱・目・科・属・種
例)動物界・脊索動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト・ヒト属・ヒト
(詳細版:動物界・脊索動物門・哺乳綱・霊長目・真猿類 ・狭鼻小目・ヒト上科・ヒト科・ヒト亜科・ヒト)
動物の基本的な分類において、基本的な分類階級より詳細に分類するために様々な分類階級が付け加えられています(下綱・亜綱・上目・亜目・上科・亜科・族・亜属・亜種)
そこで、ゾウとハイラックスで共通する分類階級を見てみると、「アフリカ獣上目」上目です。この分類にはほかにもジュゴンやマナティー、ハネジネズミやキンモグラが属しています。ちなみにこの上目、人間は真主獣大目に属しています。この分類には霊長目以外に、ツパイやヒヨケザルが属しています。
遠くね?
ヒヨケザルが何かわからない方は調べてもらうかシンガポール動物園に行ってもらうとして、とにかく人間とは似ても似つかない生き物のレベルということはわかっていただけたかと思います。
つまり、ゾウの仲間!というよりも、一番近縁な動物を探したらゾウに行きつくまでいないという方が正しいのかもしれません。それだけ独立した分類の“ユニークな生き物”ということですね!









シンプルに、可愛い
ここをみて!ここを感じて!みんなが知らないハイラックスの魅力


このユニークすぎる生き物は主にアフリカ大陸のサバンナや山岳地帯(ケープハイラックス)、森林地帯(キノボリハイラックス)などに生息しています。中でもケープハイラックスはコピエと呼ばれる岩山で家族を中心とした群れを形成し、肉球を使ってよじ登ったり、傾斜90度の崖や谷間に張り付いたりしながら暮らしています。
彼らの最も興味深い生態は、その社会性にあります。キノボリハイラックスなどは2~3頭程度の少数で群れを作り、独立性が高いですがケープハイラックスは異なります。
1頭のオスと複数のメスとその子供で構成されるハーレム群を形成し、成獣のオスが優位となり繁殖機会を独占します。
群れの大きさは50頭や60頭にもなり、岩山登ったら全部の溝にハイラックス!なんてこともあるかもしれません…


オスのケープハイラックスは、数十秒にわたる複雑な「歌」を歌います。この歌には複数の音節が決まった順序で並ぶことでメロディーを作り、地域ごとの「方言」まで存在することが2012年にイスラエルのハイファ大学で発表された研究により明らかになりました、鳥や鯨類で知られるような音声文化に近い特徴を示しており、小型陸上哺乳類としては極めて珍しい例です。
さらに、独身のオスは加齢とともに歌の複雑性が増加するのに対し、縄張りを持つ優位オスでは加齢とともに複雑性が低下するという群れのボスが油断していく様子まで知らべられています。
そして2023年の研究により“リズム感”のあるオス(拍や取り方が均等であるオス)ほど繁殖成功率が高いこともわかり、ハイラックスは音痴がモテない生き物であると発表されました。
となればより歌の技術が向上していくのが生物の進化です。ハイラックスの歌には後半に向かうにつれて、音量や音の荒々しさが増加する「クレッシェンド構造」が見られます。興奮や攻撃性、あるいは発声制御の負荷を反映していると考えられています。歌にノッて気分が上がっちゃってるわけですね。これはヒトの音楽におけるクレッシェンドと類似しており、「なぜ人間は特定の音楽構造を好むのか」という認知科学の研究にも影響を与えています。


彼らは特殊なご近所付き合い”でも知られています。こんなにかわいい見た目をしていますが警戒心が強く、見慣れないものには見張りに立つ優位オスが警戒音を発し、即座に警戒態勢を取ります。
しかし、2022年にイスラエルの研究チームがNatureに掲載した論文では、ハイラックスの夜間行動が個体間の親密さに強く影響すると発表しています。彼らは夜間のGPS位置測定などを駆使して夜間の行動を観測しました。
その結果、彼らは血縁の親密度によらず、夜間誰と一緒にいるかによって親密度に影響が出るとのことです。夜間の一番無防備な状態を守りあったことが餌をわけてもらったことなど何よりも親密になりやすいということです。
また、一般的な動物では「よく遭遇する“顔見知り”ほど警戒行動が薄まる」という“親愛なる敵効果(dear enemy effect)”という行動が見られます。しかし、ハイラックスに関しては全くの逆です。時間が経つほど近隣に住むオスへの対抗歌唱(威嚇・縄張り誇示)が増える“厄介な隣人効果(nasty neighbour effect)”が確認されています。同じ群れの仲間とは親密な間柄になり、お隣さんには威嚇祭り…他の種にはこのような行動は見られないため、かなり貴重な例といえます。
まとめ


以上、いかがだったでしょうか?
ハイラックスの興味深すぎる生態…皆様が少しでも興味を持つきっかけとなっていただければ幸いです。
もしこの動物に興味を持っていただけましたら、最寄りの動物園をぜひ訪れて、観察してみてください!!
- IUCN, Procavia capensis (Rock Hyrax), https://www.iucnredlist.org/species/41766/21285876, 2026年6月22日閲覧
- Kershenbaum A, Ilany A, Blaustein L, Geffen E. Syntactic structure and geographical dialects in the songs of male rock hyraxes. Proc Biol Sci. 2012 Aug 7;279(1740):2974-81. doi: 10.1098/rspb.2012.0322. Epub 2012 Apr 18. PMID: 22513862; PMCID: PMC3385477.
- African wildlife foundation, Hyrax, https://www.awf.org/wildlife-conservation/hyrax, 2026年6月22日閲覧
- Yishai A. Weissman, Vlad Demartsev, Amiyaal Ilany, Adi Barocas, Einat Bar-Ziv, Lee Koren, Eli Geffen, A crescendo in the inner structure of snorts: a reflection of increasing arousal in rock hyrax songs, Animal Behaviour, Volume 166, 2020, Pages 163-170, ISSN 0003-3472, https://doi.org/10.1016/j.anbehav.2020.06.010.
- Yael Goll, Vlad Demartsev, Lee Koren, Eli Geffen, Male hyraxes increase countersinging as strangers become ‘nasty neighbours’, Animal Behaviour, Volume 134, (2017), Pages 9-14, ISSN 0003-3472, https://doi.org/10.1016/j.anbehav.2017.10.002.


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