足の速い動物といえば…
「最も足の速い動物は何か?」と尋ねられれば、その名前がすぐに上がってくる陸上最速の動物・チーター。
ネイチャー系のテレビ番組では、全速力で獲物を追いかけ、狩りをしている姿がよく見られるかと思います。

(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/web/14/1126/)
しかし…
「最速」だけがチーターの特徴というわけではありませんっ!
とにかく速いというイメージが強いチーターですが、その速さにはもちろん理由があるし弱点もあります。
また、速さ以外にも弱肉強食の自然界で生き抜くための術を持っているのです。

単純に足が速いだけでやってけるほど、野生の世界は甘くない。
ということで、今回はチーターの意外な特徴について解説します!
チーターは短距離選手
「体が細長く、風の抵抗を受けにくい」、「ツメがスパイクシューズのような役割をする」など、体の構造が速く走ることに特化しており、走行時の最高時速は100kmを超えるチーター。
そんな彼らの走りにも、一つだけ大きな欠点があります。それは…
スタミナがないこと!
チーターの速度は強靭な脚や胸の筋肉と、柔軟な背骨を活かし、全身をバネのように使うことで生まれます。
そのため、肉体にかかる負荷が非常に大きく、すぐにバテてしまうのです。


具体的には、彼らが最高速度を維持できるのはせいぜい30~40秒ほど。
距離でいえば、長くても500mほどまで。
つまり、彼らは人間でいう短距離選手のような存在。


狩りの成功率に関しても、一気に勝負をつけなければならないため、50%にも満ちません。
しかし、スタミナを捨ててでも一瞬のスピードに特化しているのは、生き残るためにライオンやハイエナなどの
他の捕食者とは異なる武器が必要だったからに他ならないのです。
涙のような模様の秘密
チーターの顔をよく見てみると、眼の内側から口角にかけて涙のような黒い模様があります。


この模様は「涙状線(るいじょうせん)」と呼ばれ、とある役割があると考えられています。
それは、日中のまぶしさを軽減し、視界を良好に保つこと!
チーターは、ネコ科では珍しい昼行性。
彼らの暮らすアフリカやイランの草原には、朝や昼間には強い日差しがあるため、反射によるまぶしさから眼を守り、外敵や獲物を見つけやすくする必要があったのかもしれません。



大リーガーが、日差しの強い日に目の下を黒くペイントして試合に臨むのと似たようなものです。
また、まぶしさの軽減以外にも、表情をより際立たせる効果があるという説もあります
全員がひとりぼっちなわけじゃない
チーターは単独で暮らしているイメージが強いと思いますが、実は社交的な側面も持っています。


若いオスは、兄弟や若者同士で小さな群れを作って暮らすことがあるのです。
その群れは「コアリション」といい、独り立ちした若いライオンも形成することが知られています。
協力して縄張りを守ったり、狩りをしたりなど、複数頭ならではの恩恵を受けることができるため、生活が単独時よりも安定し、生存できる可能性を大きく高めることができるのです。
しかし、近年は何らかの原因で獲物が減少しているためなのか、コアリションがしばしば目撃されるようになりました。
多いもので、8頭が行動を共にしている様子が発見されたという記録もあります。
まとめ
- スタミナを代償に得た一瞬のスピード
- まぶしさを和らげる涙状線
- コアリションを作って高まる生存率
最速だけじゃないチーターの特徴、知っていただけたでしょうか。
この記事を読んでくださったあなた!
もし、友達や家族と一緒にチーターのいる動物園に行かれる際には、ここで知ったことをぜひ教えてあげてくださいね!
●ルーク・ハンター「チーター」山上圭子訳『野生ネコの教科書』今泉忠明監修、
エクスナレッジ、2018年、165-174頁
↑上記の書籍の出版社「エクスナレッジ」へのリンクはこちら
https://www.xknowledge.co.jp/home?cartItemNum=0&viewLogout=0&viewLogin=1
●Spotting A Rare Group of 8 Cheetah! | Seven Worlds, One Planet | BBC Earth
(https://youtu.be/qYqCMm8xWCU?si=59u15oFWIVinYMQ5)